フリーランスになるために事前にやっておきたい準備についてご紹介します。

フリーランスになったら「自由だ!」と思う方も多いかもしれませんが、自由を享受するためには必要な準備がたくさんあります。

色々とやるべき事が多いと思うかもしれませんが、一つ一つ実行していけば必ず達成できる事ばかります。

今回は事業を行うために必要な事、会社員時代にやっておくべき事、保険・年金の変更手続きについてご紹介しますので、どんな準備が必要かしっかりと押えておきましょう。

事業を行うために必要な事

フリーランスとしての事業を継続させるための準備についてまずはご紹介します。

フリーになる前からできる準備ばかりですので、いざフリーになった瞬間に焦らない様にできる事はやってしまいましょう。

事業計画書の作成

急に事業計画書を作るの?と思ったかもしれませんね。お金を借りたりする訳じゃないから事業計画書は不要では?と感じるはずです。

でも、フリーランスは自分の仕事を紹介する機会は多いです。フリーランスというだけで「どんな事をしているの?」という質問をされます。

事業計画書と言っても法人の様に形式ばったものでなくともOKです。1枚のA4用紙にまとめた内容でも全然OKですので、自分が行っている事業内容を整理して、何をしているのか、もしくはこれからするのかをまとめておくべきです。

基本的には案件を受注して仕事を行い、平行して個人でも一般向けサービスの開発をする。という方であっても、自分が行っている事業の内容をまとめておきましょう。後々で仮に一般向けサービスをリリースしたいとなった場合に、協力者やお金が必要になるかもしれません。その時に、いつからどの様な志を持って業務をしてきたかを説明する事ができます。

この後で説明する職務経歴書では語れない「自分がフリーランスとして業務をする上での理念」などを前面に押し出した資料を作成しましょう。

職務経歴書、スキルシート、ポートフォリオの作成

事業計画書と通ずる話になりますが、

・これまでの業務経験

・持っている技術、知識(C言語、Python等の使用言語、ODBCなど)

・これまでに開発したシステム経験(ECシステムの開発、POSシステムの運用・保守など)

などについてまとめておく事が必要です。

落とし込む資料としては、

・職務経歴書(従事したプロジェクト名、従事した期間、具体的な業務、使用言語など)

・スキルシート(自分が使用可能な言語、OS、ツールや、それぞれを使用した期間など)

・ポートフォリオ(自分が開発に携わったシステム(開示可能なものがあれば)など)

などが一般的です。これらの資料で十分に自分をアピールできる様にしましょう。

フリーランスとして自分を売り込む際に、これらは非常に重要な資料になりますので、常にブラッシュアップをしながら、いつでも資料を渡せる様にしておく事が大切です。

フリーランスとして開業届を提出する

改行届を出さなくともフリーランスとして仕事をする事は可能です。

しかし、開業届を出した方が絶対に良いです。

一番の理由は、青色申告が可能になる事です。詳しくは後述しますが青色申告をする事により節税効果が高くなるのです。
※開業届を出さずに青色申告をしようとすると、さすがに断られる事はないと思いますが、「後からでも良いので必ず開業届を出して下さい」と言われます。場合によっては断られるかも。

また、開業届を出す事により小規模共済などにも加入できる様になったり、屋号名義での口座が開設できる様になります。※いずれも審査はあります。

屋号を決める?

開業届を出す際には屋号を記載する欄があります。

会社で言うと社名の様なものですね。

屋号は必須ではありませんが、もし使いたい名前があればぜひ屋号にしてみましょう。

屋号は名刺などに印字して前面に出しても良いですし、あまり前面に出したくない場合は、自分の好きな屋号を付けておいても良いと思います。

後で変更はできるので、あまり重たく考えずに、分かりやすい名前を付けるのが良いと思います。※変な名前は避けた方が良いと思いますが^^;

白色・青色申告承認申請を行う

フリーランスになったら、自分で確定申告を行う必要があります。

確定申告は白色申告・青色申告の2種類があり、青色申告はさらに単式簿記・複式簿記で分かれます。申告方法によって、報告内容の詳細度が異なります。

■確定申告の内容の詳細度(手間が増えます)

白色 < 青色(単式)< 青色(複式)

簡単なものの方が良いと思うかもしれませんが、実は一番お得(節税効果が高い)なのは青色申告(複式簿記)になります。青色申告(複式簿記)で確定申告をすれば、何と「最大65万円の特別控除」を受ける事ができるのです。
※ちなみに白色だと最大10万円の控除になります。

そもそも利益がどの位でているのか?によって納税額は変わってきますが、節税効果を求める場合には大きなメリットです。

また、複式簿記を使いこなせる様になると会計力もUPします。先々で法人化なども考えているのであれば、早いうちから基本的な会計力も身に付けておいた方が良いです。

最低限の会計ができる様になろう

青色だと確定申告の節税効果が高いという話をしましたが、複式簿記の基本を身に付けておかないと、当然すぐにはできません。

フリーランスの準備としてやらなければならない事はたくさんありますが、複式簿記の基本も身に付けておきましょう。

仕事に必要な物、環境の準備

仕事を行うために必要な物を揃えたり、環境を整える必要があります。

代表的なものを挙げておきます。

・仕事をする場所(オフィスが必要な場合)

・PC、周辺機器

・必要なソフトウェア(クラウドのデータ保存サービスも含む)

・事務用品、印刷機

・レンタルサーバ、開発環境

・仕事用のメールアドレスの作成

・名刺(必要であれば)

仕事用のメールアドレスはかなり大事?

上記で紹介した中でもメールアドレスは特に大切です。

ユーザにとっては窓口になります。フリーランスになると決めた時には取得しておいて良いと思います。
※名刺を作成する場合はそこに記載もする事になると思います。

また、ユーザ向け、チームメンバー向け、会員登録用などでアドレスを使い分ける事も検討した方が良いと思います。特にネット上で会員登録するサービスなどは別のアドレスを使っても良いかもしれません。
※転送サービスを使えば、一つのアカウントで全てのメールの内容を確認する事ができます。

ただ、一番重要なアドレスはユーザ向けのアドレスである事は言うまでもありません。自分が気に入ったアドレスなどがあったらメモをしておきましょう。

仕事用の名刺なども作成しておいて、フリーランスになると決めた時から仕事の付き合いがありそうな人には配っておくと良いです。フリーランスとしての活動を開始するまでに仕事が受注できれば御の字です^^

銀行口座を作る

開業届を出してからの話になりますが、自分のお金としっかりと切り分けて管理をするために、事業用の銀行口座を作成しましょう。

信用がないと口座が作れないなんて事もありますが、事業の目的が明確でいくつかの銀行をあたってみれば、口座を作れる銀行が見つかるはずです。

事務用品・必要書類の準備

仕事を受注した場合には以下の様に、様々な書類が必要になります。

・見積書

・請求書

・納品書

仕事を受注しなければ、内容は当然書けませんが、テンプレート等は事前に用意をしておきましょう。様々なテンプレートが存在しますから、自分が使いやすそうなものを選択すればOKです。
※で、実際に使ってみて、使いにくいなと感じたら変更すればOKです。

案件紹介のエージェントへの登録

フリーランスのエンジニアを行う上で一番のネックとも言えるのが、案件を取ってくる事です。そのため、昔は技術だけではなく、営業力もある人が活躍する時代があったと言います。

しかし、今は案件を紹介してくれるエージェントサービスがたくさん存在します。

エンジニア向けの本格的な案件を紹介してくれるサービスから、数日で完了させられる小さな案件を紹介してくれるクラウドソーシングの様なサービスまで玉石混合です。

かつての様な営業力よりも、様々なエージェントサービスを上手に活用できるかどうかが、フリーランスとしての事業の成否を決めると言っても良いかもしれません。

「情報収集能力 > 営業力」の時代と言ってもいいかもしれません。

個人で企画段階からサービスを作成したいと考えている方には不要かもしれませんが、既に人気サービスを持っていない場合は、収益化するまでに時間がかかる事もあるので、エージェントサービスの使い方はしっかりと覚えておきましょう。

(会社員の特権を活かして)会社員時代にやっておきたい事

直接フリーランスの仕事に関係がある訳ではないですが、現在会社なのであれば、今のうちにやっておきたい事も挙げておきます。

ここで挙げるのは、金融機関から信用調査に関わる内容です。金融機関は過去の統計を元にして信用情報の審査を行います。駆け出しのフリーランスは社会的信用が低いため、審査が通りにくいのです。

クレジットカード作成

よく言われる事ですが、フリーランスになるとクレジットカードの審査が通りにくくなります。

作成したいクレジットカードがある。また、クレジットカードを持っていないなどの場合は、後々のためにカードを作成しておきましょう。

(家を買いたいなら)ローンを組む

クレジットカードの場合と同じように、銀行からローンを組むのも難しくなります。

家を買いたいと考えているのであれば、会社員の間にローンを組んでおいた方が良いかもしれません。

ただし、大きな買い物ですので、焦って購入する必要はないと思います^^;

保険や年金の切り替え手続き

次は直接フリーランスとしての事業に関係はありませんが、会社員を辞めてフリーランスになる上でやっておくべき事を紹介します。保険や年金の切り替えはその代表例です。後々で指摘されたり、損をしない様に適切なタイミングで切り替えをしておく様にしましょう。

保険の切り替え

会社員の場合は組合保険に加入しているケースがほとんどです。

フリーランスになる場合は国民健康保険(通称:国保)への切り替えが必要になります。

退職した日から14日以内に、市区町村の役場への届け出を行いましょう。

但し、申請をすれば限定的な期間ではありますが、組合保険に加入し続ける事も可能ですので、会社員時代に加入している保険内容を確認して、適切な保険に加入(もしくは継続)する様にしましょう。
※会社員時代の保険を継続する場合は20日以内に届け出が必要です。

年金の切り替え

会社員の場合は基本的に厚生年金に加入しています。

ただ、フリーランスになる場合は国民年金への切り替えが必要になります。

退職した日から14日以内に、市区町村の役場への届け出を行いましょう。

また、厚生年金に比べると見込みの受給額が下がりますので、国民年金基金や付与年金への加入も検討しましょう。

まとめ

フリーランスになるためには色々な手続きが必要になります。

前半部分ではフリーランスとして事業を行う上で必要な準備を中心にお伝えしました。会社員時代からメールアドレスや名刺を作成してスムーズに事業が開始できる様にしておきましょう。中には会社員時代から仕事の受注の約束を取り付ける人もいます。

後半部分では、会社員時代にやっておくべき事や、年金・保険などの手続を中心に説明しました。こちらは有意義な人生を送る上で必要になります。

準備する事が多くて、よくよく考えると面倒だな…と思う事もあるかもしれません。しかし、フリーランスになるメリットもたくさんあります!もし自分の夢・目標に到達するためにはフリーランスが良い!と思うのであれば挑戦する価値のある選択です!