このサイトでは様々なエンジニアやクリエイターの方に定期的にインタビュー企画を行っています。今回はゲーム開発エンジニアとして活躍されているKKさんにインタビューをさせていただきます。

KKさんは人口知能のワークショップを通じて知り合った方で、現在30代でフリーランスのゲーム開発者として仕事をされています。今回はゲーム開発者の仕事の仕方や、ゲーム開発にかける思いなどについて伺ってみたいと思います。

リーベルリーベル

実際にゲーム開発をしているKKさんには色々な話を聞けるのは楽しみです。
どうぞよろしくお願いします。

KKさんKKさん

はい、よろしくお願いします。

KKさんの経歴を聞いてみた

まずはKKさんの業務経歴について聞いてみます。
※転職や独立等のターニングポイントとなるイベントについても教えていただきました。

KKさんの業務経歴

KKさんKKさん

それでは私の業務経歴を紹介します。忘れている所もあるので年齢等はちょっと若干違うかもしれませんが大体この様な感じです

新卒でエンジニアデビュー (25歳)

院卒のため25歳で会社勤めを始める。

高専→学部→院の流れで機械工学・数学を学び、システムエンジニアになる。大学院まで行ったが勉強が特に得意な訳ではない。数学が好きだったので進学した。

新卒の会社ではJavaを使った基幹系システムの開発に携わる。要件定義の一部と設計~テストまでの工程を経験。

転職する(27歳)

自分の夢はゲーム開発である事に気づき、ゲーム開発ができる会社に転職。

転職活動は約2ヵ月程度で、仕事をしながら行う。

転職した会社は企業規模は小さかったが、大手ゲームの下請けを行う会社だったため、やりがいを感じる。基本給は1社目よりも低くて忙しかったが、会社の人達とも仲が良く、満足できる環境だった。

個人開発を始める(29歳頃)

ある程度スキルが身に付いた時点で個人開発に着手。

会社とは別でスマホアプリの開発(主にandroid)を中心に行う。ミニゲームをどんどん作る様な作業スタイルで、2年程度で8本制作して販売を行う。
※頓挫したアプリを含めると15本程度

アプリの開発言語は基本的にJavaだが、それまで身に付けたJavaスキルは正直あまり使わず。。。

独立を決意(31歳頃)

個人開発で販売したアプリが多少の収益を出し、手ごたえを感じたため、独立する事を決意する。

ただ、安定的に収益化できる力は無かったため、個人開発と受注開発を並行するスタイルで独立する事に決める。

独立(32歳)

フリーランス向けのエージェントに登録を行い、ゲーム開発案件を紹介してもらう。

希望は週3程度の案件だったが、面白そうな案件があったため、とりあえずフルタイムで受注を行う。その後、少しずつ受注の稼働を減らして、個人開発の割合を増やす。

大体この頃から、開発エンジンはUnityで行う機会も増えたため、UnityやC#のスキル習得も同時に行う。

現在(38歳)

現在は受注開発と個人開発を半々で実施中。

受注開発も個人開発も基本的に在宅で行っている。

打合せがある場合はクライアントの会社に行く事もある。

KKさんの経歴について質問してみた

高専卒業後に大学に編入をされて、その後大学院まで行ったんですね。プログラミングのスキルも既に高かったんでしょうか?
全然です。学生時代に使っていたのはBasic等の古い言語でしたし、専攻は情報系ではないので、必要な時にプログラミングをしていたという程度です。
アルゴリズムには多少自信はあるのですが。文系出身でも自分より凄いエンジニアはたくさんいます。
では、1社目の会社で本格的にプログラミングを学ばれたんですか?
そうです。1社目で学びました。研修がしっかりしていたのでその研修で学べたのが大きかったです。
転職はしてしまいましたが、仕事が嫌だった訳ではありません。
ただ、ゲーム開発をしたいという思いが強くなり、転職を決意しました。今考えると勢いで決めた部分もあります。
転職活動では苦労した事はありましたか?
会社に勤めながらの転職活動だったので、時間を作るのには苦労しました。
それでも色々な会社の状況が見れて楽しかったですが。仕事後や土日、有休などを上手く使って活動しました。
転職先は希望通りの会社でしたか?
最初は業界の事をよく分からなかったため、大手のゲーム会社を希望していました。
しかし、ゲーム開発経験が無い中で大手のゲーム会社への転職は厳しそうと判断しました。そのため、大手の下請けを行う中小の会社に転職しました。ゲーム好きの人が集まるので楽しかったですよ。第一希望ではないですが、結果的には良い会社でした。
個人開発を始めたきっかけはありましたか?
1社目にいた時から個人開発は行うと決めていました。
スキルを学ぶために転職をした部分が大きいですね。
実際にスキルがある程度身についてきた頃に自然と個人開発を始めたと記憶しています。
アプリの収益化が独立のきっかけとの事ですが、どの位の額だったかを教えていただけるものでしょうか?
たしか5万円程度だったはずです。しかも当時はその金額が半永久的にもらえると錯覚していました(笑)
月によって金額は違いますが、約1年はそのまま収益になってくれたと思います。
流石に5万では暮らしていけないので受託案件をフルタイムで始めたのは結果的に成功でした。
現在は個人開発だけでも十分な収益があるのかも教えていただけるものでしょうか?
これについては金額は言いにくいんですが。。。(笑)
個人開発でも一応生活できる位の収入はあります。
ただ、そんなに大きな金額ではありませんよ。受託案件と併せて多少は贅沢ができる位です。
今まで大変でしたから本当にありがたい限りです。(笑)
会社員の良さ、フリーランスの良さについて教えていただけますか?
どちらも良い部分悪い部分がありますが、会社員は最低限の保証があるという点はいいと思います。
フリーランスの場合は自分で仕事量や仕事をする日をある程度決められるのが良いですね。
個人開発はアイデアを出すのが大事なので、しがらみに捉われないフリーランスの方が良いアイデアは出やすいと思っています。
リーベルリーベル

かなり色々と聞いてしましました。
自分の目標をハッキリとさせて、その都度やるべき事を実践している様に感じますね。

KKさんのターニングポイント(転職と独立)について聞いてみた

次にKKさんターニングポイント(転職や独立をした時の事)についてさらに詳しく聞いてみます。
特に、以下の点を重点的に伺いました。

  • 転職活動の進め方
  • 独立してどの様に案件を受注したのか

転職と独立した時の事

KKさんKKさん

転職や独立については、正直半分は勢いだった気がします。
それでも、その時その時で一生懸命に頑張った事を思い出します。

転職活動

ゲーム開発をしたいという夢に目覚め、転職サイトに登録をして転職活動を開始。

転職エージェント活用も考えたが、仕事をしながらの転職活動で少し忙しかったため、まずは転職サイトのみ活用した。

ゲーム開発ができる事や勤務地、身に付けられるスキルを基準にして求人を探す。

1社目は給与が高めの会社だったため、年収のダウンは覚悟していた。
※結果的に多少の年収ダウンはあったが、大きくは変わらない。

3社に応募をして2社から内定をもらう。業界は違ったが、プログラマーとしての採用だったので1社目の経験を買ってもらえた。大手のゲームを下請けを行う会社に入社。悪くない会社だったが、選び方としては下請けの会社はあまり選択しない方が良い事は後で知った(笑)

独立した時の案件受注の仕方

独立して最初は個人開発のみで仕事をしたいと考えていたが、その考えは危険という事に気づき、フリーランスエンジニア用のエージェントに登録をして案件を紹介してもらう。

当初は個人開発者でも登録できるエージェントの存在を知らなかったが、派遣会社に行く様な気持ちでエージェントに登録をする。

様々な案件を紹介してもらう中で、仕事内容が自分の希望に合う案件を発見。グラフィックにこだわっているのが好印象だった。当初は週3程度での仕事の予定だったが、自分のためになりそうだったので、フルタイムで結局仕事をする事になる。

収入自体は会社の従業員時代よりも高くなったので結果的に良しとしている。

KKさんのターニングポイントについて質問してみた

転職活動は計画的という訳ではなくても結果的には成功されていますよね。何か秘訣はあると思いますか?
全然計画性は無いですね(笑)
でもゲーム開発に携わりたいとう明確な目的があった事が良かったと思っています。
またゲーム業界は未経験なので、大手に行くのは厳しいと早めに割り切れた事も結果的に良かったと思います。
転職活動では業務経歴書の作成や面談対策として力を入れた事はありますか?
その時はあまり意識をしていませんでした。独立してから業務経歴書の重要性を理解できました。
ゲーム業界は業務経歴書だけではなくて、面談をして人物を見る事が多いと思います。
面談時には必ずと言っていいほど「好きなゲーム」や「作りたいゲーム」の話が出てくるので、答えを準備しておくといいかもしれませんね。
独立時に希望に沿った案件を見つけたとの事でしたが、そんなに良い案件だったのでしょうか?
そうです。ゲームのグラフィックに凝っているプロジェクト案件で、グラフィックについて様々な事が学べそうだと感じました。
エンジニア出身だったので、グラフィックに関われるのは非常にいい機会だと感じました。
実際にその案件で学んだ事は個人開発にも活きていると感じます。
リーベルリーベル

意外にも勢いで行動していた事もあるんですね。
それだけ情熱的になれる仕事をされているのかもしれません。

KKさんの現在の仕事(ゲーム開発)について

最も聞きたかった現在の仕事の仕方について聞いてみます!

KKさんの現在の仕事状況

KKさんKKさん

現在の仕事の仕方はこの様な形です。基本的に個人開発と受注案件を並行で行っています。

現在はUnityやUE等の開発エンジンを使った個人開発と案件を受注して仕事をしている。

個人開発はスマホアプリがメインでandroid、iOS用のゲームを開発している。たまに便利アプリを作る事もある。基本的な大規模なゲーム開発はせずに、数週間~2か月程度で完成するものを多数リリースしている。

スマホ用のゲームを改修してPC用のビルドする事もあるが、販売の仕方がまだよく分からない状態

同時並行で行っている受注案件については、一度お世話になったプロジェクトで仕事が回っているが、案件は必ずフリーランス向けのエージェントを通す様にしている(保証面や交渉事を委託できるため)

並行して受注をしているのは、生活の安定のためとUnityやUE等の技術共有のため。また、常駐で行う案件の場合は慣れ親しんだメンバーがいる事も大きい。

KKさんの現在の仕事(ゲーム開発)について質問してみた

現在はUnityやUEを使ってゲーム開発をされている様ですが、やはりこの2つのエンジンを使いこなせた方が良いですか?
ぶっちゃけ、日本国内であれば今はUnityだけでいいと思います。
余裕があればUEも覚える程度でいいと思います。
ただ、本格的なゲーム開発になると、UEでしかできない表現もあるので、使いこなせる様になるのが理想ですけどね。
たぶん好きな人は勝手に使っちゃうと思います(笑)
それと、UE5からはライセンスに関する規約が変わって個人にとってはありがたい契約内容になったので、今後はUEを使う現場はかなり増えるかもしれないので動向はチェックしておいた方が良いです。
小規模なゲームを複数作る様なスタイルというのはどの様なメリットがありますか?
開発に長期間かかると、やはり不安なんです(笑)
月に1つはリリースできる様なスタイルだと気は楽です。
私自身がライトなゲームを好きという事と、様々なゲームを作る方が最初はスキルアップしやすいというのも理由ですね。
受注案件は基本的にエージェントを使われているとの事ですが、エージェントを使うメリットについても教えていただけますか?
最近のエージェントはフリーランス向けの保証制度を設けていたり、会計処理を代行してくれる所もあります。
ゲーム開発以外の事となると私はズボラなので、事務的な事は得意な方にお願いするスタンスです。
また、案件を受注する際の報酬面で交渉なども行ってくれるのはありがたいですね。
当然マージンも抜かれますが、自分の苦手な所はエージェントさんにお願いする方が気が楽です。
もしエージェントを使う場合は、個人開発している事を伝えておいた方がいいです。それも加味して案件を紹介してくれると思います。
ちなみにKKさんと知り合ったのは人工知能のワークショップでしたが、ゲーム開発でも人工知能を取り入れる機会が多いのでしょうか?
現状はそこまで必要では無いと思っています。
開発エンジンで最低限必要なAIは提供されていますし、必要に応じて購入する事もできます。
でも、逆に人工知能開発・研究の分野の中でUnityやUEを扱うというケースは増えています。
その様な背景があるので、知見を拡げるために人口知能の勉強をしています。
最後に、今後の目標などがあれば教えて下さい。
やはり個人開発のゲームでそれなりのヒットを狙いたいですね。
ありがたい事に生活の方は段々と理想としていた形になってきました。
でも、ゲーム開発者としてはまだまだです。有名と言われる様なゲームを一本は開発したいですね。
リーベルリーベル

個人開発を実際にされている方の意見は非常に参考になります。
並行で受注案件を受けていたり、必ずエージェントを活用したりと仕事の仕方にも工夫が見られますね。
そして、やはりヒットゲームを開発してほしいと思います!

まとめ

今回はゲーム開発エンジニアのKKさんにインタビューをしました。

目標をしっかりと持って情熱的に仕事や転職活動をされていた事が分かりました。

個人開発者としての生活のリスクを考えて、並行で案件を受注して仕事をしているという話を聞いて、よく考えながら人生を送っているんだなとも思いました。

今後も、ゲーム開発者として活躍をしてほしいです!

リーベルリーベル

KKさん今回は本当にありがとうございました。

KKさんKKさん

こちらこそ、どうもありがとうございます。