エンジニアの方であれば、プロジェクト名称を書く機会があると思いますが、このプロジェクト名称って、すらすらと書けますか?

※プロジェクト名称というのは、例えば「官公庁の人事制度改定に伴う基幹管理システム再構築プロジェクト」といったものです。システムの名称ではありませんので要注意

この様なプロジェクト名称は急に問われるわりには、書くのは意外と大変です。というか、そもそも書き方すらよく分からないなんて事も多いのではないでしょうか。私もエンジニアになりたての頃は全然分かりませんでした。

今回はそんなプロジェクト名称の書き方について解説をしていきたいと思います。

プロジェクト名称を書く機会は多い

冒頭でお伝えした通り、プロジェクト名称を書く機会というのは意外と多いものです。
※エンジニア以外の方も結構書く機会は多いのでしょうか。

■プロジェクト名称を書く機会の例

  • 案件面談時に使用する「職務経歴書」に記載する
  • プロマネ試験のプロジェクト概要に記載する
    ※30文字以内とされている事が多い
  • その他にも、システムインテグレータ等に企業に勤めている場合には、自分のプロジェクトの紹介で記載する事がある

記載すべきフォーマットによって、どこまで具体的な名称を記述するのかは異なりますますが、基本的に考え方は同じになります。

プロジェクト名称の書き方

では具体的にプロジェクト名称の書き方について解説をしていきます。

書き方といっても特別なものではなくて、(最初に結論を言ってしまえば)プロジェクト名称を聞いただけで「こういうプロジェクトを担当したんだな」と想像しやすい名称であり、プロジェクトの内容を的確に説明した名称を書けばOKです。
※プロジェクトマネージャー試験の参考書として有名な「みよちゃん本」でも、プロジェクトの名称はイメージしやすくて、すぐに覚えやすいものが良いと書かれていた気がします。

とはいえ、それば難しいんだよな。と思いますよね。

なので、いくつか例を挙げながら説明します。

記載フォーマットによってプロジェクト名称の記載内容は異なる

段落タイトル通り、フォーマットによって記載内容は全然違います。

ここでは、職務経歴書に記載する場合のプロジェクト名称と、プロジェクトマネージャー試験のプロジェクト概要に記載するプロジェクト名称の違いを例にして説明します。
※プロジェクトマネージャー試験はよう分からんという場合は「ふーん」と思っておいていただければとりあえずOKです!

職務経歴書の場合

職務経歴書に記載する場合は、どの様な業務を行っていたのかは、別途記載する事が多い(以下の場合は担当業務に含まれる)ので、プロジェクト名称については簡潔になる傾向にあります。

■職務経歴書への記載例

担当プロジェクト:販売促進支援システムの構築
担当業務:詳細設計、製造、単体テスト、機能テストまでを行うチーム(5名)に所属しました。チームでは作業者兼チームリーダとして業務を行い、担当工程全ての作業と他メンバーが作成した成果物のレビュー、およびチームの進捗管理を担当しました。

※おおよそこの様な記載になるのではないでしょうか。担当業務を記述できるのであれば、プロジェクトは簡潔なものでもOKです。

プロジェクトマネージャー試験の場合

プロジェクトマネージャー試験の場合は、自分がプロジェクトマネージャーをしていた事が前提になっているとはいえ、「プロジェクト概要」のシートには具体的に業務の内容までは記載する事はできません。※その語の論述問題で事細かに説明する必要があるのですが。。。なので30文字くらいの長さで「可能な限りで良いので」詳しく説明した方が良いです。

■プロジェクトマネージャー試験のプロジェクト概要への記載例

プロジェクト名称:パッケージ導入による官公庁の基幹管理システム再構築

※こちらの方が少し詳しい内容になっていますよね。業種だったり、プロジェクトの成り立ちにおける条件なども記載されています。また、~の~のというふうに読みにくくなりがちですが、できる範囲でスッキリした名称にすればOK。

プロジェクト名称の考え方

上記で例を見ていただきましたが、何となくプロジェクト名称の考え方が分かってきたでしょうか。

基本的に、

  • プロジェクトのメイン業務
  • システムの概要・構成・特徴
  • システムユーザの業種
  • プロジェクトの特徴

などの要素を組み合わせて作成する事が多いのです。後は分かりやすく一つの文章として成立させればOKです。

まずはシステム名称を作り、そこに付随する内容を後から付け加えると上手くいくかもしれません。

で、これらの各要素をどの様に決めたら良いのか、ここから具体的に見ていきましょう。

プロジェクトのメイン業務

プロジェクトの大まかな業務というのは、いわゆる

  • 開発
  • 保守
  • 運用

といった様なものです。

開発・保守を組み合わせて一つのプロジェクトとなっている事もあります。

※ちなみに開発を行っている場合は、~の開発。よりも、~の構築。と記述する事が多いです。

■例

  • 大手メーカーの品質管理システム構築
    ※新規でなければ「再構築」「刷新」などでもOK
  • 不動産会社A社の顧客管理システムの運用支援
    ※大規模な場合は「運用準備」「環境構築」などでもOK
  • 中規模証券会社の基幹システムの保守業務

こんな感じで基本的にはOKです。ちなみに、部分的な改修は再構築、全面的な改修は刷新とされる事が多い印象です。(あくまで印象)

また、WEBサイト制作などの業務であれば、「作成」「制作」ではなくて「構築」がベターです。

システムユーザの業種・仕事の特徴

システムユーザの業種や仕事の特徴などの情報も付与すると、「ああ、こういう人達向けのシステムなんだな」と分かりやすくなります。どの様な業界知識を持っているか判断できるポイントでもあります。

  • 会社について:不動産会社、旅行会社、銀行、証券会社
  • 業界:金融、小売り業者、建設業者、通信業者、運航・旅客系、官公庁

概要・特徴が分かりやすいものを選択すればOKです。

■例

  • 小規模旅行会社の顧客管理システム刷新
  • 小売業者の生産管理システムの運用・保守

ユーザの業種が分かるとシステムのイメージがし易くなりますよね。

システムの概要・構成・種類・特徴

システムの概要・構成・種類・特徴等を記述するとシステムがどの様な役割を持っているかがよく分かります。

システムの概要

システムの概要とは、

  • 基幹管理システム
  • 人事管理システム
  • 顧客管理システム
  • 経営管理システム
  • 運用支援システム
  • 販売促進支援システム

等々の事をいいます。これらについては各システムにある程度の定義があるので、自分が携わったシステムについては知識として定義を覚えておきましょう。いくつか紹介しておきます。

■基幹系システム・基幹管理システム
https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/core-system/basic-information.html

■生産管理システム
https://hnavi.co.jp/knowledge/blog/160117/

■業務管理システム(生産管理システムと似ている)
https://aippearnet.com/single-post/gyoumkanri/#i

■人事管理システム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

システムの構成・種類・特徴

システムの構成・種類・特徴についてはまとめて例をあげます。

これらは必要に応じて説明を入れましょう。何でもかんでも入れると分かりにくいので、どれかシステムの特徴を表しているものを入れましょう。

  • 分散系クライアントサーバ
  • 夜間バッチシステム
  • WEB系システム
  • オープン系システム
  • 汎用系システム
  • パッケージ適用(導入)システム
  • ○○システムのサブシステム
プロジェクトの特徴

プロジェクトの特徴をメインの名称にもってくる事は少ないのですが、本当に特徴的なものがある場合は、それをプロジェクト名称にしてもOKです。

プロジェクト目標(QCDなど)に直接影響する特徴があれば、それを記載してOKです。

例えば、

  • オフショア
  • ニアショア
  • ソフトウェアパッケージ導入判定(独自)
  • Saas活用

等が特徴と言えるのではないでしょうか。特に初めての試みである場合は特徴と言って良いと思います。

プロジェクト名称の様々な具体例

さて、実際に上記のプログラム名称を作るための要素を足し合わせて、プロジェクト名称を作ってみましょう。

少し文章表現なども工夫しながら作ってみましょう。

  • ソフトウェアパッケージを適用した証券会社の販売管理システムの構築
  • 不動産業者の基幹管理システムと運用支援サブシステム構築
  • 分散型運航系システムと、その関連システム群の運用・保守業務
  • 法改正による金融系顧客管理システム再構築
  • オフショア開発による小売業者の生産管理システム構築
  • システムインテグレータによる官公庁の人事管理システム構築

大事なのは「正解は無いけど、読み手がイメージしやすくて、分かりやすい表現」です!一度自分のプロジェクト名称を書いてみて、内容が分かりやすいか確認しましょう。周りの人に見てもらっても良いです。

ちなみに、絶対ダメではないが、「~関係の業務」「~等のシステム」とすると曖昧になってしまいます。なるべくハッキリと言い切れる様な内容にしましょう。

細かいテクニック

何を先に持ってくるか・後に持ってくるか

最初にシステムの事を語るか、ユーザの事を語るか、特徴を語るのか、というのは人それぞれですが、最初にプロジェクトの特徴や、ユーザについて語り、最後が○○システムの構築といった文にする事が多いです。

とはいえ、ここも正解はありません。

なので、いくつかのパターンを作ってみて、

  • 文章としてまとまっている
  • プロジェクトがイメージできる
  • 特徴が分かる

という基準で選択すれば良いかなと思います。

略称にしてもOK

ちなみに、文数制限がある場合は各要素に略称を使ってもOKです。

例えば、

  • システムインテグレータ⇒SI、SIer
  • 人工知能⇒AI

などはOKです。業界の人であれば伝わる様な言葉での略称であればOK

まとめ

さて、今回はプロジェクト名称の書き方について解説しました。

プロジェクト名称だけでこんなに色々と考える機会はなかなかないので、私個人としても良い経験になりました^^

エンジニアの方であれば、プロジェクト名称を書く機会は必ず訪れると思いますから、今回ご紹介した内容を踏まえて、「イメージし易くて分かりやすい」プロジェクト名称を作ってみて下さい。