プロジェクトマネージャ試験の午後Ⅱは(有名な)論述試験です。初めて受験する方にとっては非常にハードルが高いと感じる試験かもしれません。
初見だと問題文を読んだだけで「は?何書けばいいか分からん。」となってしまう様な問題です。ただ、そんな午後Ⅱ問題も何度も演習をしている内に徐々に論述できる様になってきます。というのも、毎回異なる内容を記述する訳ではなくて、ある程度のパターンがあるんです。
それに、午後Ⅰよりも実は(しっかりと準備すれば)成果が出やすい試験でもあるんです。午後Ⅰは問題内容によっては準備をしても上手く解答できない場合もあります。ただ、午後Ⅱ試験は早めに準備をして演習を繰り返す事で点数が上がっていく傾向にあります。なので、午後Ⅱについては、できるだけ早めの準備をしておきたい所です。
今回はそんなプロジェクトマネージャ試験の午後Ⅱ対策について解説していきたいと思います。
コンテンツ
プロジェクトマネージャ午後Ⅱ試験について
さて午後Ⅱ試験の問題の全体像をまずは把握しましょう。
午後Ⅱの問題内容は毎年ある程度決まった形式となっています。勉強をしている受験者は当然それを知った上で受験しますから、この形式を知っていなければ話になりません。
午後Ⅱ論述試験の出題パターン
まずはいくつかの過去問を見てみて下さい。
IPA公式のプロジェクトマネージャ試験の過去問
※対象年を選択して「プロジェクトマネージャ試験(PM)」の「午後Ⅱ」の「問題」をクリックすると問題を閲覧可能です。PM試験は平成20年までは秋試験・平成20年以降は春試験となります。
実際の問題を見てもらうとよく分かると思いますが、午後Ⅱの場合、問題文があり、その後に3つの設問「ア、イ、ウ」が続くというのが基本的な出題パターンになります。
問題文
問題文では論述テーマに関する「考え方」「具体例」などが示されます。論文の構成はこの後で出題される設問に基づいて記述しなければならないのですが、論文の中ではこの問題文にも触れながら論述しなければなりません。
設問
設問では大体以下の様な出題がされます。
- 設問ア:プロジェクトの特徴+(問題テーマに関する)設問
- 設問イ:問題点の分析方法+対応方法
- 設問ウ:対応方法に対する評価
午後Ⅱ論述試験のストーリーパターン
出題パターンをもう少し深堀りしてみましょう。
午後Ⅱの色々な問題を読み込んでいると良く分かりますが、ある程度の「ストーリーパターン」があります。以下はよく出題されるストーリーパターンになります。
- 設問ア:
プロジェクトの特徴を教えて下さい。
特徴を踏まえて起こりうる問題を教えて下さい。 - 設問イ:
問題について、以下について教えて下さい。
(1)問題分析
(2)対応計画
(3)対応内容 - 設問ウ:
分析結果や対応内容に対する評価を教えて下さい。
今後に向けての取り組みを教えて下さい。
ストーリーができあがっている事が分かると思います。
- 設問アでは、プロジェクトの事と問題文に関連する状況について問われています。
- 設問イでは、分析方法、対応策、対応内容など、プロジェクトマネージャとして具体的に行った事が問われています。
- 設問ウでは、対応内容についての振り返り(評価)や今後に向けての改善点が問われています。
当然、全てこの通りではありませんが、おおよそこの様な流れになると思っておくと良いです。
問われる具体的な内容は毎回違いますが、この点は知識として蓄積するしかありません。ただ、こちらも問われる内容にはおおよそのパターンがあります。過去問と同じ様な事が問われる事も少なくないので、得意パターンを作っておくと非常に強いです。
午後Ⅱで問われるポイント
大きな問題が起きてしまったため、その問題に対する対応策を実施したという問題はまず出題されません。プロジェクト進行中に起こりうる問題の兆候や、問題察知の方法、問題が顕在化した場合の対策、対策の評価などの点が問われます。
つまり、
- どんな問題が起きそうか?
- 問題に対してどの様な準備をすべきか?
- 準備した結果どうなったか?
というポイントが問われる事が多いです。プロジェクト目標(主にQCD)を踏まえて、これらの問題にどう対処すべきかという事を普段から考えておくと論文も書き易くなるかもしれません。
プロジェクトマネージャ午後Ⅱ試験の対策
では具体的にどの様な対策が必要でしょうか。
よく言われるのは
- 論述のネタ探しをする
- 論文の書き方を学んで訓練する
という点です。
「知識を収集して、論文で表現する」
簡単に言うとこの方法しかありません。
言うのは簡単ですが、この勉強がかなり大変。。。なのです。とはいえ、対策するしかないので、具体的な方法をご紹介します。
論文のネタ探しをする
論文の中で活用できそうなネタ探しはどの様に行えば良いのでしょうか?
これはズバリ、
- 午後Ⅰの過去問
- 午後Ⅱの過去問
になります。
午後Ⅱは分かるけど、午後Ⅰもなの?という疑問が沸くかもしれませんが、午後Ⅰ問題のストーリーというのは、まさにプロジェクトマネジメントを行った際に課題対応だったりする訳です。
午後Ⅱの設問の内容と、午後Ⅰの問題文の内容を照らし合わせてみると、「あ、まさに問われている様な事が書いている」という発見があるはずです。
午後Ⅰには必ずプロジェクトマネージャーの主人公が登場します。
その主人公が、
- どの様な特徴のプロジェクトに参画したのか
- プロジェクトの問題は何か
- 問題分析をどの様に行ったか
- どの様な対応方法を計画したか
- どの様な対応を実施したか
等を読み解く事で、そのまま午後Ⅱ試験のネタになるのです。
午前問題もネタになる
午後Ⅰ・Ⅱの過去問がネタになるというお話をしましたが、実は午前問題も十分にネタになります。午後Ⅱ問題では過去の経験を中心に問われる事が多いですが、要所で知識がなければ上手く文章が書けないポイントが出てきます。
午前問題は基本的にシステム開発やマネジメント・ストラテジー系の知識問題になるので、様々な知識を吸収しておくと、過去の経験を上手に表現しやすくなります。文章で事細かに説明しなくとも、キーワードを使用するだけで読み手に伝わる事もしばしばあります。
要所で、しっかりと知識をアピールしながら文章を書ききる事ができれば、他の受験者の方の中から抜きんでる事もできます。
論文の書き方を学ぶ
論文の書き方については「書く事に慣れましょう。」の一言に尽きます。
プロジェクトマネージャ試験に限らず、情報処理試験の記述問題というのは国語の問題ではありません。綺麗でリズム感の良い文章を書く必要はありません。問題に対する回答を的確に記述する事が求められます。また、その論文の中で蓄積した知識や経験を表現する事が求められます。
とはいえ、これだけでは具体的な対策とは言えないので、論文を書く上で押さえておきたい事を挙げます。
論文を書く上で最低限押さえておきたい事
- 論文として読める内容である
- 論文として一貫性がある
- タイトル見出しが付けられている
※文章が構造化・体系化されている - 指定された文字数で論述する
※設問アが800文字以内(800文字により近い方が良い)
設問イが800~1600文字以内(目標は1200文字くらい)
設問ウが600~1200文字以内(目標は1000文字くらい) - 設問で問われている事への明確な解答ができているか
- 問題文で語られている内容にも触れているか
- 具体的な解答となっているか(5W1H)
※最後の3つは実際に書いてみると結構難しい
論文を書く上で意識すると差を付けられる事
論述する時に意識をしておくと他の受験者に差を付けられる事が以下になります。
- QCDを意識した前提で論述されているか
- 臨場感が大切(状況が読み手にありありと伝わる)
- 定量的な文章表現がされている(具体的な数値を出している等)
- 自分勝手な表現をしていない(知識があれば誰でも理解可能な文章)
プロジェクトの説明が必要
午後Ⅱ問題では最初にプロジェクト概要について紹介をしたり、論文中にもプロジェクトに関する説明を求められる可能性が高いです。
案外迷ってしまうのが、プロジェクト名称の書き方です。これは事前にある程度準備ができますので、可能であれば準備しておきましょう。
プロジェクト名称の記載方法についてはこちらの記事も参考にして下さい。
まとめ
今回はプロジェクトマネージャ試験の対策について解説をしました。
簡単におさらいをしてみると、
- 午後Ⅱ試験の概要 ⇒ 問題のパターンをよく知っておく
- 午後Ⅱ試験の対策 ⇒ 知識の収集をする、論文に書き慣れる
という事がポイントかなと思います。
プロジェクトマネージャに絶対的な正解というものはありません。それぞれが固有の特徴・得意な所・苦手な所などを持ち合わせています。そして、色々なプロジェクトマネージャがいるからこそ面白いのだと思います。
とはいえ、プロジェクトマネージャを名乗る上での最低限の共通言語もあります。それがプロジェクトマネージャ試験(PMPなども)だと思います。共通言語を知っているかどうかで、周りの人達が自分を見る目も全然違います。
プロジェクトマネージャ試験の中でも午後Ⅱ試験は特に大変な試験ですが、合格した時に得られる達成感や喜びは非常に大きなものですので、しっかりとがんばりましょう。
午後Ⅱ試験は特に普段の業務経験が問われる個所でもありますので、普段の業務もがんばりましょう^^