社会のインフラが凄まじいスピードでIT化されていく中で、IT業界への就職・転職を希望する方も増えています。

特に、一度他の業界に就職をしたものの、やはりIT業界で仕事をしたいという20代の社会人が多く、IT業界への転職活動を始める方もいます。その中にはIT業界は当然のごとく未経験、プログラミングって何?という方も数多く存在しています。

そして、その様な方の中には、「ITの事は何となくしか分からないけど、果たして20代でエンジニア未経験でもIT業界で正社員になれるの?」と考えている方も多い様ですが、IT業界の現在と今後の状況を考えると20代なら全然大丈夫です。IT業界は人材不足で今後さらにその状況は加速する見込みです。ですから、未経験であっても、人間性ややる気次第で全然転職は可能です。

但し、未経験の状態から転職を成功させるにはいくつか条件もあります。理系学部や専門学校に行っていた新卒入社の人に比べて不利な事に変わりはありません。今回は20代のエンジニア未経験者向けにIT業界に転職(しかも正社員!)するために行うべきポイントをご紹介していきたいと思います。

未経験からIT業界への転職を成功させるために行うべき事!

では、具体的に未経験の状態から何をすれば良いのかを解説します。

未経験からでも転職できる業種・職種を調査

IT業界といっても様々な業種・職種が存在します。

例えば、IT系企業と言われる会社に入社したが経理部で経理の仕事をする場合、業種はITですが職種は経理になります。自動車メーカーのシステム部門でシステム開発の仕事をする場合、業種は製造業(メーカー)ですが、職種はエンジニアになります。仕事内容は全然違いますが、どちらもIT系の仕事とも言えます。

転職を成功させたいのであれば業種と職種をよく考え、自分が転職したい業界はどこで、やってみたい仕事は何なのかを明確にする必要があります。正社員としての転職を成功させたいのであれば、なおさら大事な作業です。

一般的には20代であれば、プログラミングを行う業務系のシステムエンジニアや、サーバインフラの管理を行うネットワークエンジニアであれば、スキルややる気次第で転職しやすいと言われています。また、営業の仕事も未経験からでも始めやすい職種です。逆に、プロジェクトマネージャ等の仕事は開発経験やマネジメントの経験が無ければすぐに転職する事は難しいと言われています(当然の話ですね)。

時代の流れの中で転職しやすいジャンルも少しずつ変わりますが、20代のうちは、経験重視ではなくて、スキルや適性があれば挑戦しやすい職種は転職しやすいと覚えておくと良いと思います。

転職したい企業が見つかった場合、これまでの自分の経験と共通する業種・職種であれば企業は興味を持ってくれるかもしれません。しかし、全く業種・職種が関係無い場合は、まずは転職がしやすい業務系のシステムエンジニアや、ネットワークエンジニア、営業の仕事を目指すのが妥当だと思います。とはいえ、この点は新卒でIT企業に入社する人もほぼ同じ条件になります。最初は現場で作業する様な仕事に就くのが一般的です。

20代前半か、20代後半か?によっても転職のしやすさは異なる

時代の流れや業界の景気によって採用状況は異なりますが、20代前半か、20代後半かによって転職のし易さは異なります。

システムエンジニアへの転職を希望している場合を例にして説明します。

■20代前半でシステムエンジニアを目指す場合

20代前半の場合は、スキルよりも、基本的な能力、やる気等を問われる事が多いです。特に、学校を卒業して3年以内は第二新卒という枠で新卒と同様の採用条件となるケースが多いため、判断基準は新卒と同様の内容になるケースが多いです。

■20代後半でシステムエンジニアを目指す場合

20代後半になると、基本的な能力ややる気だけでは通じない事も増えてきます。プログラミングスクールを卒業してスキルを持っている事をアピールしたり、IT系の資格を取得してアピールする等を考えた方が良いでしょう。

自分が転職しやすい業界・職種の事をプロに聞いてみるのが良い

ここでお話したのはあくまで傾向でしかありません。希望している企業は20代前半の人に対しても高いスキルを求めるかもしれませんし、20代後半の方でもやる気があれば採用されるかもしれません。

ですから希望する企業がどの様な考えを持って採用しているのかを調査する事が重要です。この辺りの事情がよく分からないという場合は、転職サイトに登録してセミナーに出席してみたり、転職エージェントの担当者に相談をしてみると企業毎の事情を詳しく教えてくれたりします。

IT業界・希望企業に転職する際の「志望動機」を明確にする

希望する業種・職種が決まり、いざ転職をしようと思ったら、当然入社試験を受けなければなりません。

企業の入社試験のためにエントリーシートを作成したり、面接を受ける際には必ず志望動機が問われます。未経験から転職する場合、この志望動機が非常に重要になります。

「未経験の状態からなぜIT業界に行こうと思ったのか?なぜその企業なのか?」それを明確にしておく事が大切です。

これは何も面接を通過するためだけに必要という訳ではありません。自分自身がこれからやっていきたい仕事をハッキリとさせる事で、転職後の仕事の仕方が全然変わってきます。それは自分の人生にも大きく影響します。当然、やってみなければ分からない事もたくさんありますが、事前に自分の性格や希望を考えてやりたい仕事を決めなければなりません。

エントリーシート・面談で志望動機をどう表現するか?

志望動機を面接官に伝える場合は、どの様に表現するのが良いのでしょうか?

「給料が良さそうだから、安定してるから」というのは仮に本音であってもNGです。

面談を担当する側からすると、以下は明確に回答してほしいポイントです。

  • なぜ未経験からIT業界に行こうと思ったのか?
  • なぜこの業種・職種なのか?
  • なぜウチの会社なのか?

例えば、JR等の鉄道業のシステム開発をしたいと思った場合、

  • 社会人になってからプログラミングの面白さを知った(なので未経験からIT業界に興味を持った)
  • さらに、鉄道が好きなので、システムエンジニアになって鉄道のシステムを開発したいと思った
  • 希望企業は自分が子供の頃からずっと利用している鉄道会社なので、お客さんが求めるものを作れると思う

くらいの事は最低限伝える必要があります。

ここからさらに、「なんで鉄道が好きなのに、今は鉄道会社に勤めてないの?」「具体的にどんなシステムを開発したいの?」といったツッコミの質問が来ることも予想されます。この辺りも含めてしっかりと回答できる様にしましょう。そこまで考えて初めて志望動機と言えます。よく言われる事ですが、志望動機を明確にするには、まず自己分析が必要になります。自己分析をしっかりと行って自分がその仕事をしたいという理由を明確にしましょう。

IT業界に転職するためにスキルを身に付ける

志望動機を明確にしたら、次は転職するために必要なスキルを身に付ける努力をしましょう。

正直、20代前半であれば、とりあえず面談を受けてみてもOKかもしれません。

ただ、20代中盤~後半の場合は、独学で勉強しています、とか、業界情報を収集しています。だけではちょっと足りないと思われる可能性もあります。個人でシステムを開発した実績をポートフォリオで表現できれば別ですが、「本気だな。」とか「この人はウチの会社に向いているな。」と思わせるものを持っておく(もしくはその努力をしている)と良いです。

という訳でIT業界に転職する際に役に立つスキルを紹介していきます。

※ここで紹介するスキル全てを事前に身に付けるのは難しいかもしれません。特に転職を急いでいる場合は、そんな時間も無いかもしれません。その場合は転職活動と同時進行でも全然良いので、スキルを身に付ける努力をしましょう。

資格の取得

IT系の資格は様々ありますが、転職の場合は情報処理試験の国家資格はアピールポイントになります。ベンダー系の資格も有効ではありますが、業務知識が無いと合格するのはちょっと厳しいかもしれません。

私自身、入社面談・案件参画面談を担当する事がありますが、未経験の人でも「基本情報技術者」の資格を持っていたら、「あ、やる気はある人だ」と判断します。資格を取得するために、どれくらい勉強しなければならないのか?どの様な事を勉強するのか?を知っているからです。

ただ、国家資格の場合はそこそこの勉強量が必要になる事は注意が必要です。

プログラミングスクールに通う

IT業界に転職するための努力の成果としてプログラミングスクールに通うという方法はかなりオススメです。資格を取得するよりも難易度も低く、実践で役に立つスキルを身に付けられるからです。スクールのカリキュラムでは自分でシステムやアプリを作ってリリースする所までを実践する事が多いので、「やる気あるな。」とか「すぐに活躍できそうだな。」という判断をされやすいです。

また、プログラミングスクールによっては卒業後の転職までをサポートしている事もあります。スクールのサポートがあると一気に転職しやすくなるので、その様なスクールを活用するのも一つの手です。ただ、転職先が限定される等の制約が入る事もあるので、あくまで自分の希望と照らし合わせながらサービスを活用しましょう。

どうしても転職を急いでいる場合は、転職活動と並行してスクールに通ってもOKです。ちょっと忙しいスケジュールになりますが、オンラインのスクール等であれば、自分のペースで学習を進める事も可能です。

業界・職種・企業について徹底調査する

自分が勤める業界・職種・企業に関して調査する事も実はスキルアップに繋がります。

自分が行きたい業界や職種の事を調べる事で、自分が行う仕事の内容も明確になり、転職した後の仕事のキャッチアップもスムーズです。

それに、面談時に「この仕事の事をよく調査しているな。」と判断されればアピールポイントにもなります。但し、かなり細かい部分まで調査しなければなりません。調査結果のピントがずれていてもなかなか評価はされません。

調査方法としてオススメなのは、自分なりに様々な情報を収集・整理して、知り合いのエンジニアの方や転職エージェントの担当者に「自分の考え方は合っていますか?」と聞いてみる事です。特に転職エージェントの担当者はエントリーシートの添削や面談対策等も行ってくれるので、「考え方がずれている。」と思ったらしっかりと指摘をしてくれます。企業面談の前の良い予行演習になるのでオススメです。

転職先の企業にマッチした人間になる

志望動機を明確にするという項でもお伝えしましたが、転職の面接を行った場合にこんな事を思われるかもしれません。

「IT業界への志望動機がしっかりしている。IT業界に転職する上での努力もしている。それは分かった。でも、なんてウチの会社なの?」

この疑問に回答できる事が非常に重要です。疑問に対する理由をハッキリを伝えられるかどうかが転職成否のカギを握っているといっても過言ではありません。

そして、疑問に回答できるだけではなくて、実際に起業にマッチした人間になる事を目指しましょう。当然すぐにマッチした人間になる事はできないかもしれませんが、その方向に向かっていく事が大切です。これは面接を受けた時にも企業側に伝わります。

ですから、面接を受ける企業の事はしっかりと研究しておきましょう。他の会社との違いや、強み、社会における役割等はバッチリと掴んでおく必要があります。逆に言えば、この会社がイイ!と言える位に、転職先の企業を好きになる事が大事です(まぁ、何かしら不満もあると思いますが)。そうする事で、他の会社と比較して何が良いのか?どんな事に取り組んでいるのか?等々を自然と語れる様になります。

転職活動をしながらで全然良いので、希望する企業と自分の性格・スキル・目的がマッチしている人間になる様に努力をしましょう。

おすすめなのは、実際に転職した後の仕事の事を調査して、仕事に就く前から同じ様な作業をやってみる事です。業務系のエンジニアの仕事をするのであれば、家のPCで開発環境を作ってプログラミングしてみる等のチャレンジをすると良いです。

また、自分が勤めたい会社にマッチした人間になっているかどうかは、第三者から客観的に判断してもらうのが確実です。この時点まで来たらIT業界に勤めている知り合いや転職エージェントの担当者から、自分の事を冷静に判断してもらうのが良いです。

転職活動を行動に移す!

最後にお伝えしたいのは転職活動を行動に移すという事です!(実はこれが一番大事!)

これまでにお伝えした志望動機を明確にしたり、スキルを身に付けたり、企業にマッチした人間になる事をしっかりと行動に移す事が大事です(もちろんできる所から)。

また、転職サイトで様々な企業の採用条件に目を通したり、転職エージェントで今後の仕事について相談してみる事が大切です。

実際に転職活動を開始して、様々な企業の面接を受けたり、転職エージェントでエントリーシートを添削してもらったり、模擬面接をしてもらったりという行動をしなければ、自分の至らない点はなかなか分かりません。自分1人で考えたり、調査する事は大切ですが、実際の行動の中から学ぶ事は非常に多いと思います。

今はIT業界に転職するために、優良な転職サイトや転職エージェントがありますので、これらのサービスを活用するのが良いです。特に転職は初めてで、自分の市場価値を客観的に判断できないという場合は転職エージェントに登録するのがオススメです。担当者が一緒に仕事を探してくれる&転職成功率を高めるための豊富なアドバイスをくれるので、転職のコツが自然と身に付くはずです。

まとめ

今回は、20代のエンジニア未経験者がIT業界へ転職するためのステップについてお伝えしました。

お伝えした内容をまとめると、

  • 未経験で転職できる業種・職種の調査をする
  • 志望動機を明確化する
  • スキルアップをする
  • 入社希望の企業にマッチした人間になる
  • 実際に行動に移す

となります。

20代であれば、チャンスはまだまだありますので、ぜひIT業界にチャレンジをしてみてほしいです。時間が経つとどんどん転職が難しくなるので、できるだけ早く行動を起こした方が有利ですよ。