IT系・エンジニアに限った話ではありませんが、転職活動をする場合は企業分析が必須になります。必須とは言えすごく面倒な作業です。

さらには志望企業の研究だけではなくて、業界全体・ライバル企業の研究自己分析なども併せて行う必要があります(これがさらに面倒)。

ただ、企業分析というのは実はやり始めると意外と面白い作業でもあります。何より企業研究をする事で本当に自分の希望に沿う企業を見つける事ができ、面接等でも企業とのマッチング度をアピールしやすくなります。

今回は企業分析をどの様に進めれば良いのか?について紹介をしていきます。流れを知る事でできるだけ効率的に企業研究をする事もできると思います。

この記事は以下の方を対象にまとめています

  • 企業研究の仕方が分からない
  • 転職を考えていて、自分に合った企業を探したい
  • 企業面接を控えている

企業分析の目的

企業分析をする前に、企業分析の目的を明確にしておきましょう。

目的が無いと、どこに向かってどの様な情報を収集すれば良いのかが全く分かりません。

企業分析の主な目的は以下になります。

企業分析の目的

  • 自分にマッチした企業なのかを確認する(自分の希望通りの企業かの確認、面接での志望動機アピールにつながる)
  • 自分はその企業で活躍できる人物なのかを確認する(面接での自己PRにつながる)
  • 自分を企業に売り込みやすくする(面接の評価と関連※基本情報を知らないとマイナス評価)

簡潔に言えば、企業とのマッチング度を証明して入社後に企業としても自分としてもハッピーになれるために企業を分析するとも言えます。また、入社選考の面接の中で、企業分析をしっかりとできていれば、それが応募企業と自分とのマッチング度のアピールにもなり、自分を売り込みやすくもなります。

企業分析と言うと、株価予想のための業績分析をする方がいますが、転職活動における企業分析はあくまで企業とのマッチング度を確認する作業です。

これらの目的を達成するために企業分析するという事はしっかりと覚えておきましょう。

完璧過ぎる企業分析は時間の無駄?

企業分析というのは、いくらでもやる事があります。全てを実践しようと思ったら時間がいくらあっても足りません。

特に在職中で忙しいプロジェクトに参画している場合であれば、忙しい合間をぬって実践しなければなりません。

その様な場合は、分析の優先度を付けると良いです。「最低限ここまでは分析しなければならない。でも時間があればもっと分析しよう。」という判断ができると効率的に企業分析が進められます。

企業分析をしよう!

では実際に企業分析を進めていきましょう。

企業分析は大体以下の流れで進めると、情報を整理しやすいです。

企業分析の流れ

  1. 企業分析の準備(業界分析・自己分析)
  2. 分析対象企業の整理
  3. 企業の概要情報収集
  4. 具体的な企業分析
  5. 自分と企業がマッチングしている事の再確認

企業分析の準備

企業分析をするためには実は必須の準備があります。

それは、

  • 自己分析
  • 業界分析

になります。

実は多くの方が誤った企業分析をしており、その中でも一番多い誤りは応募したいと考える企業だけを研究する事です。

これでは、企業とのマッチング度を明確化できません。本来は、業界全体・市場の流れ・業務と、自己分析を総合的に行う必要があります。

自己分析や業界分析も総合的に行う事で、以下の様なポイントを押さえて企業とのマッチング度を明確に説明できる様になります。

  • 応募企業は自分に合った企業なのか?
  • 他企業ではなく、なぜその企業を志望したのか?何を魅力と感じているのか?

こんな話を聞くと「え、これから対象企業の分析をしようと思ってたのに、まずは業界分析とか自己分析とかしなきゃならないの?面倒すぎるでしょ。。。」と思うかもしれません。なぜ、業界分析や自己分析も必要かのか?ついては機この記事を読み進めていただければ分かってくるはずです。すでに選考に入っていて、時間が無いという場合も、最低限の研究はしておきましょう。

準備として業界分析と自己分析についても少し触れておきます。

業界分析

企業研究をする前に、まずは自分が進みたい業界の全体像を明確にしましょう。

業界にもメーカー系、WEB系、自社開発、SI事業、サービス販売、サービス提供型などなど、様々なものがあります。まずは業界全体の大枠から希望領域をブレイクダウンする様な流れで進めると良いと思います。
※一つに決められない場合は気になる業界・領域をまずはいくつかピックアップしてみましょう。

そして、その業界に含まれる企業の事業内容ビジネスモデル主な業務内容等を洗い出し、業界の将来性を冷静に判断する必要があります。

この業界研究をする事で、実際に志望する企業の位置づけなどが分かり、ライバル企業との差別化のポイントも理解できる様になります。

どうしても時間が無いという場合は、応募企業と関連する分野に絞っても良いので、最低限の業界分析をしましょう。

自己分析

自己分析は厳密には企業分析ではありませんが、自己分析が完了していないと企業分析をする事もできません。

自分が持っているスキル・強味・求めるものが明確化されていないと、企業分析をした所でマッチする企業を見つけるのは難しいですし、仮に選考に進んでも自己アピールも、志望動機も伝えられません。

特に重要なのは、自分の転職の軸です。少なくとも転職の軸は明確化した上で企業分析を含む転職活動を行う様にしましょう。

必ず自己分析をしておく様にしましょう。転職の軸の作り方については以下を参考にしていただければと思います。

分析対象企業の整理

次に自分の転職の軸や、業界分析の知識に基づいて分析対象企業の整理(洗い出し&絞り込み)をしましょう。

ここで言う分析対象企業と言うのは主に以下になります。

  • 志望企業
  • 志望企業のライバル企業

つまり、分析対象企業の整理とは、自分の志望企業&ライバル企業がどこであるかを明確にする事です。
※「分析対象企業=自分が応募したい企業」と思われがちですが、ライバル企業の情報も必須です

まずは自分が応募したい企業から探すのが分かりやすいです。応募したい企業は、自分が気になる企業から調査しても良いですし、転職エージェント等から紹介された企業を順番に見てみるという形でもOKです。そして、同業種やビジネスモデルが似ているといった観点で、ライバル企業を洗い出し、絞り込みましょう。
※ライバル企業については、分析というレベルまで実践すると時間がかかり過ぎてしまうので、できる範囲で情報収集をすれば良いと思います。

ちなみに転職エージェントを活用する際は以下の記事も参考にしていただければと思います。

ライバル企業の分析をする目的の一つは、志望企業とライバル企業との違いを理解する事で「なぜその企業で仕事をしたいのか?」という理由を明確化できるからです。さらに、ライバル企業との比較内容を面接の場で伝える事ができれば、大きなアピールもなるでしょう。

企業の概要情報収集

企業について最低限知っておくべき事を洗い出しましょう。

これらの情報は、もし面接等で言及された時に、知らないと一気にマイナス評価を受けてしまう様な情報が大半です。

最低限知っておくべき事

  • 創業年、沿革
  • 代表取締役の氏名、経歴
  • 企業理念
  • 従業員数
  • 上場有無
  • 資本状況(外資系、日系など)
  • ビジネスモデル
  • 販売プロダクト、サービス

さらに、上記の最低限知っておいた方が良い事に加えて、以下の点も押さえておくとより企業の事を理解できます。

知っておいた方が良い事

  • 業績の推移
  • 関連するニュース情報(経営者や活躍している社員のインタビューなど)
  • IR情報

これらは企業のホームページ・ネット上をしっかりと確認すれば収集できる情報ですので、これらの情報は必ず押さえておく様にしましょう。

ちなみにIR情報については、本気で分析するとかなり時間がかかってしまうので、企業の業績・課題・今後の展望などの情報を抽出する事ができれば一旦OKです。金融業務でもない限りは、投資家の様な分析をする必要はありません。

※求人情報も当然確認する必要がありますが、求人についてはこの後で詳細分析するので、そこで詳しく紹介します。

企業の詳細分析

次に企業の詳細分析を行います。

ここからがやっと本番かもしれません。既にお伝えしている通り以下の様な観点で企業を分析していきます。

  • 自分が本当に働きたい企業か?
  • その企業の中で自分が活躍できるか?

※何度も言いますが、企業分析と言うと、株主などが企業の将来性を分析するものと同じと勘違いする方がいますが、分析の目的はあくまで「自分に合うか?」「企業に貢献できるか?」という企業と自分とのマッチング度を確認する事なのです。

企業の詳細分析は以下の順番で行うと実施しやすいと思います。

  • 情報の収集元を整理する
  • 自分が働きたいと思える企業なのか?
  • 自分は企業が求める人材なのか?

情報の収集元を整理する

企業分析に必要な情報の収集元は主に以下になります。

  • 求人票(業務内容、応募条件)※特に重要
  • 企業のHP(先輩のインタビュー)※特に重要
  • 転職エージェントのキャリアドバイザー ※特に重要
  • IR情報
  • (もし存在するならば)企業に関する書籍等
  • 就職四季報

また、上記に加えて、既に実施している以下の情報とも照らし合わせて分析します。

  • 業界分析 ※特に重要
  • 自己分析結果(転職の軸)※特に重要
  • ライバル企業の情報 ※特に重要

自分が働きたいと思える企業なのか?

自分の転職の軸と以下の様な点を比較しながら、まずは自分が本当に働きたい企業かどうか?について分析をしてみましょう。

  • その企業の安定性将来性(業界内のポジションはどこなのか?ライバル企業と比較して強味はあるか?等)
  • 求人に記載された業務内容(自分が本当にやりたいと思う業務か?その理由は何か?等)
  • 社員の人達に憧れが持てるか
  • 制度が希望に合っているか(休日の有無・就業時間・育児休暇の有無・リモートワークの有無等)
  • 年収待遇は希望通りか
  • 他の企業よりも自分が貢献したいと思う企業か?
  • 他企業よりも魅力に感じる部分があるか?それはどの様なポイントか?(魅力的に感じる業務、サービス名、プロダクト名)

この分析で重要なのは自分が本当に働きたいと思える企業かどうかをあらゆる視点から確認する事です。

そして、自分が働きたいと思う理由をしっかりと言語化できる様にしましょう。

■主に必要となる情報源
  • 自己分析結果(転職の軸)
  • 求人票
  • 企業のHP
  • 転職エージェントのキャリアアドバイザー
  • 就職四季報
  • ライバル企業の情報
  • IR情報

企業が求める人材なのか?

次に以下の様な点を比較しながら、まずは自分が企業が求める人物かどうか?について分析をしてみましょう。

  • 自分が担当する業務をしっかりと遂行できるか(活躍する事ができるのか?その理由は何か?)
    ⇒さらに、業務への理解度、スキル、経験、今後のやる気があるかも併せて判断しましょう。未経験の場合は特にやる気が重要!
  • 企業の求める人物像とはどの様な人か(自分は当てはまっているか?その理由は何か?)
  • 企業が抱えている課題は何なのか(自分は解決できるか?その理由は何か?)
  • どの位の緊急度で人材を求めているのか(自分は即戦力として働けるか?その理由は何か?即戦力になれなくても貢献できる理由はあるか?)
■主に必要となる情報源
  • 自己分析結果(転職の軸、職務経歴、スキル、志望動機、その他の自己PRなど)
  • 求人票
  • 企業のHP
  • 転職エージェントのキャリアアドバイザー

特に、求人票には、実際に転職をした際の業務内容や、求める人物像が詳しく記載されていると思いますので、求人票は全て暗記する位の勢いで確認しましょう。

求人で求められているスキル、経験、人物像を明確にする事で、自分が活躍できる企業であるかを判断する事ができます。

自分と企業がマッチングしている事の再確認

それまでの流れの中で企業分析は完了しています。

ただ、様々な情報を元に分析をしていますので、以下の観点でもう一度分析内容を整理しましょう。

  • 本当に自分が転職したい企業なのか(その理由は何か?)
  • 志望する企業・業務において、自分は活躍する事ができるのか(その理由は何か?)
  • 面接でアピールできる様な情報が収集できたか(言語化して説明できるか)

分析内容を整理する事で以下の事が可能になります。

  • 本当に自分が転職したいと思う企業である事を確認して、迷わずに転職活動にコミットできる。
  • 転職後に活躍ができる事を確認できる。(そして実際に活躍できる)
  • 企業とのマッチング度が高い事を言語化して、それを面接の場でアピールする事ができる。

転職後のシュミレーション

マッチングしている事を再確認する際に、自分が実際に転職後に仕事をしている姿をしっかりとイメージしてみましょう。

そうする事で、本当に自分に合う会社かどうか?がより明確化できます。

仕事をしている姿だけではなくて、転職後の自分のライフスタイル(住む場所、リモートワークの可否、給与)をよく考えてみましょう。本当に自分が求める方向に進んでいるのか?を判断する基準にもなります。

まとめ

今回は企業研究の方法について解説をしました。

企業分析の流れをおさらい

  1. 企業分析準備(業界分析・自己分析)をする
  2. 分析対象企業の整理をする
  3. 企業の概要情報収集をする
  4. 具体的な企業分析をする
  5. 自分と企業がマッチングしている事の再確認をする

まず最初に、業界分析や自己分析をしなければならないという話をしたので、少しげっそりしたかもしれませんね。

ただ、だからこそ、これらの企業研究をしっかりと行う事でライバルに差をつける事ができますので、できるだけ事前の準備をしておきましょう。

何度も言いますが、企業分析というのは、自分と企業がマッチングしている事を明確にするための分析です。

この観点を忘れずに、丁寧に企業分析を行いましょう。