ITエンジニアにとって、会社員に比べて収入が良く、自由度の高い仕事が存在するフリーランスは年々人気のある働き方となっています。ITの仕事というのは他の業種に比べると歴史は浅いものの、今は社会にとって必要不可欠な仕事になりました。時には花形の仕事と言われる事すらあります。

実際にフリーランスと会社員のエンジニアとで集まると、よく「フリーランスの方が圧倒的に高収入だね」という話になります。会社員にもメリットはあるものの、皆フリーランスへの興味が高まっている事がよく分かります。

では、実際にそのフリーランスになるには一体どうすれば良いのでしょうか?なりたいと思ってすぐになれる仕事なのでしょうか?

現在はIT人材が少ない時代で、今後さらに人材不足の状況が拡大すると言われています。そのため、既にエンジニア経験のある方であれば、方法を間違えなければフリーランスになる事は十分に可能です。

ただ、それでも無事にフリーランスになる事に成功する人もいれば、逆に失敗してしまう人もいます。
※「失敗する」というのは希望通りの仕事が見つからなかったり、フリーランスになっても会社員へ逆戻りしてしまうケースです。

今回は、自分の希望通りのフリーランスになるにはどうすれば良いか?という事にスポットを当てて、フリーランスの仕事内容やフリーランスになるまでのステップについて解説します。

まず!IT業界やフリーランスの事を知ろう

フリーランスになるにはどうすれば良いかを語る前に、まずはIT業界やフリーランスとしての仕事をしっかりと理解しておきましょう。

IT業界の状況

冒頭でもお伝えしている様にIT業界は慢性的な人材不足という問題を抱えています。

転職市場ではかつては35歳転職限界説といった事も言われていましたが、IT業界に関しては35歳を超えても転職する人が多い特殊な業界です。この様な状況を見ると、どれだけエンジニアが求められているかが分かります。

そういう意味では、しっかりと技術や経験があれば、フリーランスとして独立する事は決して夢ではありません。むしろ、エンジニアの現実的な生き方の一つとしてしっかりと認識しておく必要があります。特定の年齢や条件下では転職は難しくとも、フリーランスとしてであれば好条件で仕事を見つけられる可能性もあるからです。

フリーランスのエンジニアのメリット・デメリットを知っておこう

フリーランスになる事のメリット・デメリットも知っておきましょう。時代の流れの中で変わるものでもありますが、現時点での状況をお伝えしておきます。

■メリット

  • 平均収入が会社員よりも高い(30代の場合は年収ベースで平均150万~200万円違うと言われています)
  • 自分で希望の仕事(案件)を選択する事ができる
  • 在宅や週2、3等の自由度の高い仕事がある
  • 企業のしがらみに取り込まれる事がない、無駄な気遣いが必要ない
  • 自分で経費を決める事ができる
  • プライベートと仕事を両立しやすい

■デメリット

  • 自分で確定申告をする必要がある
  • 自分で社会保険に加入する必要がある
  • 必要に応じて自分で年金積立をする必要がある(厚生年金の代わりに基金等を活用する事が多い)
  • 自分で仕事の管理をする必要がある

これらのメリット・デメリットを知っておかないと、後々でイメージと違っていた。という結果になりかねません。

仕事の仕方で変わるメリット・デメリット

かつてはフリーランスは案件の谷間は収入が無いとか、福利厚生面で不安と言われていましたが、現在はフリーランス向けのエージェントや、保険組合等を活用する事でサラリーマンと比較しても、同等の条件を作り出す事が可能です。もちろん仕事の仕方によっては不安定な面も出てきますので、デメリットについては常に把握した上で仕事をする必要があります。

フリーランスのエンジニアの仕事の種類

一概にフリーランスの仕事と言っても、様々な仕事の仕方があります。

実際の仕事の中身は一緒なのですが、案件の取り方が大きく3つに分かれます。自分の理想の生き方、働き方に合わせてどの様な仕事の仕方が良いかを選択しましょう。自分がどの様な働き方をしたいのかがハッキリしていないと、後から結局悩んでしまう事になりかねません。

個人で案件を受注する

まずは個人で案件を受注するという方法です。

例えば、既にサラリーマンエンジニアとして仕事をしていれば参画先のプロジェクトから段々と大きな信頼を得られる様になるかもしれません。信頼関係が築けたそのタイミングで個人契約という形に切り替えてもらうケースがこれです。

また、一から企業に対して営業を行って、仕事をもらうという事もできます。

いわゆる自分で営業活動を行い、業務も自分で行うというスタイルです。

ある程度のスキルや信頼、営業力がなければ実現できないスタイルですが、途中でマージンを抜かれる事が無いため、報酬自体は非常に高くなるケースがあります。その一方で案件が途切れたら次の案件をすぐに探さなければならないというプレッシャーを抱える事もあります。

クラウドソーシングを活用する

こちらも個人で案件を受注するという方法ではあるのですが、2010年代に入って定番となったクラウドソーシングを活用して仕事を受注するというスタイルです。

クラウドソーシングであれば、営業活動にかかる時間コストに削減する事ができます。また、様々な仕事をする中で自分自身のアカウント価値が高まれば向こうからどんどん仕事が舞い込んでくる事もあります。

ただ、クラウドソーシングでの仕事は案件単価がまだ安いものが多く、平均年収もサラリーマンエンジニアと大きく変わりません。また、自分で単価や条件の交渉等が必要になるため、人によって合う合わないがあります。

フリーランス向けのエージェントを活用する

現在、フリーランスエンジニアの仕事の仕方として最も人気があり、安定して仕事を行う事ができるのが、フリーランス向けのエージェントを活用するという方法です。

エージェントに登録をすれば、希望に合った仕事をエージェント側が探してくれます。また、エージェント毎に福利厚生サービスを行っているので、会社員並みの保障制度を活用する事などもできます。

簡単に言えば、エンジニアの営業代理、保証を行ってくれるサービスになります。エージェントによっては経理も行ってくれるサービスもあります。

エージェント側にマージンの支払いも必要になりますが、マージン分を差し引いても会社員時代よりも収入が高くなるケースが多いです。仕事や生活の仕方を会社員時代と大きく変えず、収入だけを上げるという事も可能なため、人気があります。

ITエンジニアが成功するフリーランスになるには?

ITエンジニアがフリーランスになるにはどうすれば良いのでしょうか?

非常に簡単に言えば、フリーランスになるには以下が必要になります。

  1. ITエンジニアとして業務経験を積む
  2. フリーランスのエージェント等で仕事を受注するルートを確保する

それぞれについて掘り下げて解説します。

ITエンジニアとして業務経験を積む

フリーランスになるには、基本的にITエンジニアとしての業務経験が必要になります。未経験からフリーランスになる方もいますが、これは非常にまれなケースです。

現在、既に会社員としてITエンジニアの仕事をされている場合は、この条件を満たしている可能性があります。業種・職種によっても異なりますが、システムの設計やプログラミング、テスト計画の業務知識は他の現場に行っても求められるスキルです。フリーランスとしてのキャリアを検討しても良いと思います。

20代でフリーランスになる方の場合、1年以上~3年未満くらいの経験でどんどんフリーランスとして独立に成功しているケースが数多くあります。ただ、独立の際はエージェントに相談を行うなどして、業界に精通した方から助言をもらっているケースが多いです。既にITエンジニアとして1年以上の経験があり、フリーランスに興味があるのであれば、エージェントに登録をして直接相談をしてみると案外あっさりと道が開けるかもしれません。

技術とコミュニケーションスキルも当然大事!

業務経験を積めばエージェント等で案件を紹介はしてもらえると思います。但し、そこから高単価の案件を受注できる様になったり、長く仕事の依頼を発注される様になるには、やはり技術力とコミュニケーションスキルが必要です。

技術力については業務経験を元にして、個人でも様々なシステムや言語に興味を持ってスキルアップする事が大切です。ある程度の業務経験があれば、個人開発のスキルも実績として評価されるケースが多いです。

コミュニケーションスキルも非常に大切です。フリーランスの人は自分勝手と思われる事もありますが、実際は違います。フリーランスのエンジニアは、色々な現場で仕事をしているので、すぐに人と打ち解けたり、人との意思疎通のスピードが早かったりとコミュニケーションに長けています。とはいえば、このスキルはすぐに培われるものではありません。仕事をしながらこのスキルをしっかりと高めていきましょう。

未経験の場合はどうすれば良い?

現在IT業界にいないという場合は、ITの業務経験を積む必要があります。経験が無いと大抵の場合、エージェントからも仕事を紹介してもらえません。

ITの業務経験を積む方法はいくつかあるのでそれを紹介します。

  • IT企業に就職・転職をして業務経験を積む
  • ITの部署がある企業に就職・転職をしてITの業務経験を積む
  • 現在いる会社のIT関連の部署に異動してITの業務経験を積む
  • 副業でクラウドソーシングなどを活用してシステム開発を行い、業務経験を積む
  • プログラミングスクールでITスキルを磨いて、自分のポートフォリオを作成する(厳密には業務経験と言えない可能性があります)

これらの条件を満たせば、フリーランス向けのエージェントからも仕事を紹介してもらえる状態になります。

フリーランスのエージェント等で仕事を受注するルートを確保する

フリーランスとして必要な業務経験を身に付けたら、エンジニアの案件を受注しましょう。

案件毎に求められる業務経験・スキルは異なるので、マッチする案件を探す必要があります。

個人で仕事を探せればそれで良いのですが、大半の方は自分で一から仕事を探すのは難しいのが実状です。しかし、今はフリーランス向けのエージェントが数多く存在しています。

エージェントについては上述していますが、営業の代理業務を行ってくれたり、フリーランス向けの保障制度を提供してくれたり、エンジニア同士の交流の場を提供してくれたり、非常に便利なサービスが揃っています。

自分に合ったエージェントを活用する事で、希望条件にマッチした案件を探してくれますので、フリーランス経験が浅い間はかなりお世話になる事が多いと思います。エージェントの担当者さんとの関係は非常に重要ですから、しっかりと信頼関係を築くようにしましょう。

フリーランスになってからするべき事

実際にフリーランスになってから行うべき事についても触れておきます。

フリーランスだけの手続き事を知っておく

会社員から独立をしたら、自分で確定申告や社会保障の手続きを行う必要があります。

ちょっと難しく感じるかもしれませんが、エージェント等に相談をすると各種手続きの方法を丁寧に教えてくれる事も少なくありません。エージェントによっては、代理で手続きをしてくれるサービスもありますので、自分の方針と照らし合わせながら必要なサービスを活用しましょう。

いずれにしても、エージェントのスタッフはフリーランスの生活の仕方をよく分かっていますので、まずはフリーランスの仕事に精通したプロに何でも相談してみる事をオススメします。

エンジニア同士の交流をするべき

また、フリーランスになったら、同じくフリーランスでエンジニアをしている方達と交流する事もオススメします。お互いに情報交換をして、仕事の仕方や技術について相談する事が大切です。

エンジニア同士で交流をする場合は、エージェントの交流会に参加をしたり、最近であればSNSを活用して連絡を取り合う等の手段があります。

お互いの悩みを相談し合う事で、共同で仕事を受注したり、プライベートでも遊べる友人ができたりする事も多いです。フリーランス等で一人で仕事をすると割り切らずに、常に仲間を探していく事が大切です。

信頼を得られるエンジニアを目指そう!

フリーランスとして自由な暮らしを謳歌したり、高収入を得ているエンジニアは、エージェントやクライアントから総じて信頼を得ています。

信頼を得る人は、既に上述の通り、技術を磨いたりコミュニケーションスキルが高いです。ただ、これらは最初から身に付けているものではありません。仕事に誇りを持ち、周りの人達に配慮し、仕事の中に楽しみを見つけながら前進していける様な人は徐々に信頼を得ていきます。そしてその過程で技術力やコミュニケーションスキルも高まっていきます。

信頼を得られるエンジニアになれるかどうかが、フリーランスとしての成功・失敗を決めると言っても過言ではありません。

まとめ

今回はITエンジニアがフリーランスになるにはどの様なステップを踏めば良いか?についてご紹介しました。

内容を改めてまとめると、

  • まずはIT業界やフリーランスについて知る
  • フリーランスになるにはどうすれば良いかを知る(案件の取り方、各種サービスの活用の仕方など)
  • フリーランスになった後にするべき事

という流れで紹介をしました。見落とした部分があれば改めて確認をしてみて下さい。

何度か触れていますが現在は多くのフリーランス向けエージェントがありますので、まずはIT業界に精通したスタッフに細かい部分も含めて相談してみる事をオススメします。

フリーランスになる事で、サラリーマンよりも自由な生き方ができたり、報酬がUPする可能性も高くなります。興味があればぜひチャレンジすべき仕事の仕方だと思います。