エンジニア転職に限らずですが、転職時の面接ではしっかりと自己PRをする必要があります。

自己PRをする事で、企業の採用担当者から「この人なら活躍できそうだな。うちの会社で長く働けそうだな」と思ってもらい、採用の決め手になる事もあります。転職時の面接は過去の実績・経験への質問が多く、自分の考えや強みをハッキリと伝える時間も限られているので、自己PRが合否に影響を与えるケースが多々あるのです。

ただ、急に自己PRをして下さいと問われて、その場で回答できる事には限界があります。その場で考えた自己PRでは話もまとまらず、面接官の評価シートや心に響かせる事もできないはずです。

そもそも自己PRで伝えるべき内容・方法はある程度のルールがあります。そして、それは採用側もそれを予め分かった上で質問をしています。これを分かっているのと分かっていないのとでは、自己PRの内容は雲泥の差になります。

このルールを分かった上で、しっかりと自己PRをすれば、面接官もその内容に納得せざるを得ません。その場合は面接の通過率はかなり高くなると思います。今回は自己PRの作り方や伝え方を紹介しますので、しっかりと押さえておいていただけたらと思います。

特に面接に成功する人達は自己PRをしっかりと練り込んでいるので、その中で面接を通過できる人材になるためには負けない様にしっかりと自己PRできる様になりましょう。

転職の面接で「自己PR」をする目的

採用担当者から「自己PRをして下さい」と言われた時に、何となくであれば自己PRはできるかもしれません。

ただ、採用担当者や転職エージェントのキャリアドバイザーに話を聞いてみると分かるのですが、大抵の方は自己PRの目的を間違っています。

では、自己PRの目的とは何なのでしょうか?

それは、「採用側が求める経験・スキル・人間性を持っており、転職後に活躍できる人材だと伝える事」です。

そんなの当たり前じゃないの?と思うかもしれませんが、企業側が採用条件を明確に打ち出しているのに、その条件に言及した回答ができているでしょうか?自分の経験の自慢だったり、抽象的な回答になってはいないでしょうか?

採用側が求めるものとは、ずれた回答をしてしまう方が非常に多いのです。

例えば、Javaエンジニアの募集があった場合、流石に「Javaの経験が3年以上」という条件に対して「Pythonが使えます!」と語る人はいないでしょうが、アーキテクト人材の募集に対して、マネジメントスキル等をアピールしてしまう人は結構います。マネジメントスキルは汎用的に求められますが、まずはアーキテクトとしての明確な経験をしっかりと伝える事が大切になります。

この様に自分で気づかない内に、採用側が求めている採用条件とはずれた回答をしない様に気を付けましょう。自己PRの具体的な練り上げ方についてはこの後で具体的に紹介します。

面接の中で「自己PR」が問われる場面

次に面接の中で自己PRに言及すべき状況を挙げてみます。

どの様な状況で自己PRをするべきなのかを頭に入れておく事で、タイミング良く自己PRを行う事ができます。

  • 自己PRを求められる(直接的な質問)
  • 職務経歴書についての説明を求められる(間接的な質問)
  • その他の質問(間接的な質問)

自己PRを求められる

実際の面接では、直接「自己PRして下さい。」と質問される事は少ないかもしれません。ただ、似た様な質問をされる事はあります。

例えば、「今後の仕事の中であなたが活かせる強みは何だと思いますか?」といった質問です。
※自己PR=強みといった言葉に置き換えられて質問される事が結構多いです。これは自己PRを求められているんだなと思って質問に答えましょう。

直接的な問いではありませんが、問いに答えながら自己PRもしっかりと盛り込んでいく必要があります。

職務経歴書についての説明を求められる

エンジニアの転職であれば、職務経歴書については必ず問われます。

職務経歴書に関する質問の中で、過去にやってきた事の経験・実績や、経験を基に今後自分ができる事、持っているスキル等をしっかりと説明する必要があります。ただ、これだけでは単なる事実の羅列になってしまいます。

職務経歴書に関する質問の中で具体的な「自己PR」も盛り込んでしっかりと伝える事で面接官にしっかりとアピールができます。

ただし、スキルや開発フェーズに関する事など、限定された質問の中で自己PRをし過ぎるとくどいと思われる事もあるかもしれません。。。その点は気を付けながら、相手の質問の範囲内に収まる程度に自己PRしましょう。この辺は慣れも必要です。

その他の質問

その他にも面接で出てくる質問がありますが、色々な質問の中にも自己PRを上手く盛り込んでいく事が大事です。そうしなければ、しっかり練り込んだ自己PRを持った猛者達の中で抜きんでた人材になる事はできません。

ベースになる自己PRがある事で、様々な質問の中に自己PRを上手く盛り込んでいく事ができる様になると思います。

これは多少慣れも必要ですが、面接練習や実際の面接を繰り返す事で、少しずつ上手に自己PRができる様になります。

最強の「自己PR」を練り上げて、分かりやすく伝える

では本題の「自己PR」の練り上げ方と伝え方について説明します。

5つのSTEPに分けて紹介します。

  1. 企業が採用したい人材(経験・スキル・人間性)を理解する(調査)
  2. 企業が採用したい人材=自分!と言える過去の経験を洗い出す(自己分析)
  3. 結論を明確に伝える(この場合は自分の強み)
  4. 結論を紐づく根拠を伝える
  5. 根拠を基に、今後強みをどの様に活かしたいかを伝える

STEPの1、2は自己PRのための準備(調査・分析)、3~5は実際の伝え方と捉えると分かりやすいかもしれません。

企業が採用したい人材を理解する

的外れな自己PRをしないために、まずは企業が採用したい人材を正しく理解しましょう。

まずは以下の様な情報源を基にして、情報を収集しましょう。

■情報源と収集すべき情報

情報源 収集すべき情報
求人情報(必須) まずは求人に記載の募集要件をよく確認しましょう。
エンジニアの場合は企業が求める具体的なスキル・経験・人物像が記載されている事が大半です。特にMUST(必須)条件、WANT(あれば尚可)条件を理解しておきましょう。
募集要件に合った人材である事を伝える事が自己PRとも言えます。
※実際の所、自己PRすべき答えは求人に載っています。求人情報は必ず確認する様にしましょう。
企業のHPや公式SNS ネット上の情報で企業のIR情報や、今後の企業戦略等を情報収集しましょう。競合他社と比較して優れた点、努力が必要な点などを把握する事で、企業が求める人材像がよりハッキリとしてきます。
求人情報だけでは得られない情報があるので、自己PRをよりブラッシュアップできます。
オープンワーク等の企業口コミ情報 以下の様な社内に精通した人達の生の意見を情報収集しましょう。
・企業に勤める社員の口コミ
・元社員の口コミ
※これらの情報は「志望動機」にも影響しますどの様な人が多い会社なのか?によって自己PRの仕方も変わってきます。「その企業に多い人材」である事をアピールするのか?「その企業にはいない人材」である事をアピールするのかは自分次第ですが、どの様な人材を求めているかのヒントが掴める事も多いです。
会社四季報・就職四季報など第三者が企業分析した情報 会社四季報など客観的に分析された情報も参考にする様にしましょう。最近は同じく東洋経済新報社から出版されている就職四季報などは非常に人気があります。これらの情報は直接自己PRの中で言及する内容ではありませんが、他社との比較もしやすく、客観的な企業情報を理解しやすいので、企業の情報を整理しやすくなります。情報整理ができると自己PRを分かりやすい内容にブラッシュアップできます。
※自己PRとは違う話になりますが、そもそも応募すべき会社かどうかの判断にも役に立ちます。

基本的に情報の収集源は、やはり求人情報の中に記載されていると思った方が良いです。その他の情報源は、余裕があればぜひ確認しておいてほしい点です。情報収集がとにかく大事になります。

自己PRは本来自分の経験から生まれるものでもありますが、面接で求められるのは転職後に活躍できる事をアピールする事が目的です。この点がIT系・エンジニア転職者の多くの方が勘違いをしてしまう点です。

企業が採用したい人材=自分!と言える過去の経験を洗い出す

企業が採用したい人物像が理解できたら、次は企業側が採用したい経験、スキル、人間性を持っている理由の洗い出しをしましょう。

ちなみに、100%企業が求める人材だ!と言える人は少ないと思いますが、いくつか当てはまる部分はあると思いますので、その点を前面に押し出してアピールするべきです。それを面接官も望んでいます。逆に、全然当てはまらない。。。という場合は、アンマッチなので当てはまらないと思っても良いかも。。。

例えば、以下の様な採用条件があったとします。

■必須条件
・Javaの開発経験3年
・WEBサービスの開発経験2年
・5人以上のチーム開発経験

■歓迎条件
・チームマネジメント経験
・WEBマーケティングに関する知見

この場合、過去の職務経歴の中でJavaで開発した経験やWEBサービスの開発経験があれば、それを当然自己PRとして取り上げましょう。これに加えて、TL経験などがあれば、歓迎条件になりますので、この点も自己PRのネタにすべきです。職務経歴書に書いてあるから、あえてアピールしなくても良いのでは?と思わずに、実際の開発時のエピソード等を思い出して洗い出し、一覧化しましょう。

また、上記の場合、チーム開発経験やマネジメント経験についての条件がある事を考えると、将来的にリーダーとしてマネジメントできる人材を探している事が推測できます。仮に役職としてTL経験が無い場合でも、リーダー的業務を行った経験などもエピソードに加えて良いかもしれません。

これらとは別に、企業側が求める人物像も求人情報に記載されている事も多いです。向上心が強い人、前向きで協調性がある人といった人物像です。これらは、曖昧に聞こえますが、具体的な人物像をイメージして、その人物像に当てはまる部分を自分の中に見つけましょう。

採用条件以外の情報源(企業HP・口コミサイト等)から得た情報を基に、その企業、今回の職種、業界に求めれる力を見極めて、自分の過去の経験の中で関連のあるものは一旦全て洗い出しておきましょう。

結論を明確に伝える

さて、今まではどちらかと言うと自己PRを作るための準備の様な作業でしたが、ここからは具体的に面接でどの様に自己PRするか?という話になってきます。

まず、自己PRを面接官に伝える場合は、まず「結論をハッキリと述べる」様にしましょう。

面接は基本的に面接官からの質問で進む事が多いので、一問一答の様に答えらえる回答もいくつかあります。ただ、自己PRについては、求職者側からある程度長い時間話す事になります。その場合、ダラダラと自己PRをすると「何を言いたいのか分からない」と思われてしまい、減点されてしまう人もいます。

まず結論を述べる事で、面接官が自己PRの全貌を始めに理解した上で話を聞く事ができます。それに求職者側からしても、結論を述べる⇒具体的な話をするという流れの方が、話の流れが作りやすく、自分で何を話しているか把握する事ができます。

ちなみに、前STEPでは過去の経験の洗い出しをしていると思いますが、その中からコレ!と思えるアピールポイントを1つか2つに落とし込んで自己PRとして伝える様にしましょう。

結論に紐づく根拠を伝える

結論を述べたら、次はその結論に紐づく根拠を明確に伝えます。

その結論の根拠はSTEPの2番目で洗い出した内容になります。ですから、これまでのSTEPをしっかりと行っていれば、根拠は語れるはずです。

ただ、問題なのは、理路整然と面接官に分かりやすく伝えなければならない!という点です。できれば具体的な数字なども盛り込むとより説得力が増します。

また、面接はただでさえ緊張しますから、自己PRの根拠は事前にしっかりと話せる様に練習しておく位の方が良いです。

また、よく言われる事ですが、自己PRの根拠を伝える際にはSTARフレームワークというものを使うと良いです。
※転職エージェントのキャリアドバイザーや、人事を担当している知人に話を聞くと、最近の転職成功者はこのSTARフレームワークを上手に使いこなしている人がかなり多いとの事です。

■STARフレームワークについて

根拠を基に、今後強みをどの様に活かしたいかを伝える

これまでで過去の経験という自己PRは完了です。

ただ、重要なのは過去の経験ではなくて、転職後に自分の強みをどの様に活かせるか?という点です。

企業の仕事の内容をよく理解した上で、今後の仕事の中で、過去の経験をどの様に活かそうと思っているか?を分かりやすく具体的に伝えましょう。

求人情報には、転職後に配属されるチームや仕事の内容について言及されている事も多いと思います。過去の経験と転職後の仕事の共通点などを見つけながら、今後活かせる自分の強みをしっかりと伝えましょう。

転職後に配属される仕事がJava案件の開発なのであれば、過去の開発経験を基に「過去のJava案件では、〇〇や〇〇等の業務改善を行って工数の削減に成功した。過去の経験をぜひ活かして〇〇や〇〇等の取り組みを行い、同じく業務の改善ができたらと考えています。」。〇〇の部分にはツール化や、手順書の作成、勉強会等、過去に実際に行ったエピソードを盛り込んで説得力を出す様にしましょう。

ここで重要なのは自分の過去の経験やスキルを基に活躍できる姿をイメージしてもらう事=「再現性がある」と思ってもらう事です。再現性が無い自己PRをされても企業側としてはメリットを感じません。

既にお伝えしている自分の強みの根拠を明確に伝え、面接官の方に「なるほど、過去の経験を活かして、今後も活躍してくれそうだな。」とイメージしてもらえれば、面接の通過に一気に近づきます。

まとめ

今回はIT系・エンジニア転職で問われる自己PRについて解説をしました。
※ちなみに、この内容はIT系やエンジニアに限らず、どの業界でも活用できる内容です。

自己PRの練り上げ方と伝え方

自己PRの練り上げ方と伝え方について振り返りましょう。

  1. 企業が採用したい人材を理解する
  2. 企業が採用したい人材は自分!と言える過去の経験を洗い出す
  3. 結論(自分の強み)を明確に伝える
  4. 結論の根拠を伝える
  5. 今後、強みをどの様に活かしたいかを伝える

冒頭でもお伝えした通り、自己PRによって面接の通過率は多く変わります。

内容をしっかりと読んでいただければ分かると思いますが、「志望動機」「転職理由」といった他の質問と比較すると、自己PRは自分の過去・希望する未来などに言及する事が多いです。そのため、自分の事をじっくりと企業に伝えるチャンスでもあります。

しっかりと自己PRを練り上げて、面接官に伝え、納得のいく転職ができる様にしましょう。