ITエンジニアが転職エージェントを活用して転職する場合には、キャリアアドバイザーと面談をしなければなりません。
ただ、何の考えも無しにキャリアアドバイザーに相談をしても、転職に求めるものの要点がまとまらず、話が進まないケースもあります。ですから、相談をする前にある程度伝えるべき事をまとめておくと良いです。
転職活動に求めるものを自分の言葉でしっかりと伝える事ができないと、お互いの考えがミスマッチしてしまい、転職活動が進まないなんて事にもなってしまいます。
また、こちらから伝えるだけではなくて、キャリアアドバイザーに聞いておくべき事も存在します。自分の市場価値やキャリアドバイザー自身の経験なども聞いておくと、一緒に転職活動を進められる方かどうかを判断できます。
さらに、各エージェントには様々な特徴があるため、エージェントの方針をある程度理解した上で面談をした方が、話し合いがスムーズに進みます。
※もしも、自分が相談すべきではないエージェントを活用しても、希望通りの転職はできないかもしれません。
こんな話をすると、転職エージェントを活用する事自体が面倒に感じてしまうかもしれませんが、エンジニアに限らず転職をする際には、転職エージェントを活用した方が、希望に沿った転職を成功させやすいのは事実です。
という訳で、今回はキャリアアドバイザーと面談する前に準備しておくべき事や、キャリアアドバイザーに伝えるべき事・聞くべき事を具体的に考えてみましょう。
コンテンツ
エージェント活用前の準備
転職エージェントを活用する前に最低限の準備をしておきましょう。
そうしなければ、そもそもキャリアアドバイザーに最適な質問をする事すらできません。
エージェント活用前にしておくべき準備を紹介します。
転職に求める事の優先順位を明確にする
まず、転職エージェントを活用する際に必ずしておくべき準備、
それは、転職に求める事の優先順位を明確にする(転職の軸とも言われます)
転職エージェントにもよりますが、これがハッキリと決まっていないとキャリアアドバイザーからもなかなか相手にされない事もあります。特にIT系に特化したエージェントの場合は具体的な希望を問われる事が多いので注意しましょう。
- 希望の業界に転職したい
- 希望の職種に転職したい(役職を得たいなど)
- 年収を上げたい
- 希望地域がある(引っ越しするので職を変えたいなど)
- ワークライフバランスを取りたい(正直に言って大丈夫ですが、他の条件の優先度は下げるべき)
- 名の通った企業に転職したい
- 過去の自分の実績を有効に活用したい
ただ、これら全てを満たす転職は無理と思っておいた方が良いです。つまり、各条件はトレードオフなのです。
転職の軸の作り方については、以下の記事も参考にして下さい。
■転職の軸の作り方
「転職の軸」という言葉をご存じでしょうか? 転職業界ではよく使われる言葉です(既にご存じであれば、転職対策を進められているのだと思います)。 転職の軸というのは、ズバリ「転職する上で最も優先したい事」、さらに言えば「絶対 …
仮にどうしても迷っていて決められないポイントがあった場合は、キャリアアドバイザーに「どうしても迷っている優先順位があるので、その点だけ相談させてほしい。」と伝えましょう。但し、それがあまりに多すぎると転職の意思を疑われるので多くても1つか2つだけにしておきましょう。
各転職エージェントの特色を知っておく
転職エージェントには特色があるので、面談の内容も全然変わってきます。
例えば、簡単に言えば以下の様な特徴があると思います。
- 大手のエージェント⇒求人数は多いので幅広い求人を紹介してもらえるが、エンジニアとして具体的なキャリア相談はできないケースがある
- IT業界特化型のエージェント⇒求人数は限られるので紹介求人も減るが、エンジニアとしてのキャリア相談がしやすく、希望に沿った求人紹介が多い
- 中小規模のエージェント⇒求人数は限られるが、特定分野に強みを持っている事があるので、ニッチなキャリアニーズ・転職相談ができる(エージェントによって特色が分かれるため、面談内容が読みずらい)
簡単にではありますが、これらの特色を知った上でエージェントのキャリア担当者への相談をする様にしましょう。各エージェントの特徴については以下の記事も参考にして下さい。
■転職エージェントの特徴について
IT業界・エンジニアへの転職の際には転職エージェントを活用するのが一番効率的です。 業界に精通していない限り、自分にマッチした企業を一人だけで探すのはあまりに無謀だからです。ここは転職市場のプロの力を借りて、転職を成功さ …
エージェントとの面談の流れを知っておく
次にキャリアアドバイザーと面談する際の基本的な流れを事前に予習しておきましょう。
エージェントへの登録等はすでにすませて、一旦職務経歴書等も提出している状態を前提にします。
※職務経歴書の書き方についてはこちらを参考にして下さい。
今回はエンジニア向けの最強の職務経歴書の書き方!と題しまして、職務経歴書の書き方についてご紹介します。 「最強ってずいぶん、デカく出たな」と思われるかもしれませんが、本当に良い職務経歴書を記載するためのノウハウ・考え方を …
必ずではありませんが、以下の様な流れでキャリアドバイザーとの面談が進む事が多いです。
※キャリアドバイザーの面談では、企業面接で問われる「職務経歴・転職理由・志望動機・自己PR」と関連するものも多いです
- 最初の挨拶
- エージェントサービスの簡単な説明
- 現在の転職活動の状況(応募状況、選考状況、他のエージェントの活用状況等)※転職理由と関連
- 現在の仕事の状況(今の仕事に就く経緯、なぜ現在の業界・職種を選んだか)※職務経歴、転職理由と関連
- 希望する転職先 ※志望動機と関連
- 自分が持っている経験、スキル説明 ※自己PRと関連
- キャリアドバイザーからのアドバイス
- 求人の提案
- その他の質問
- 今後のエージェントサービス活用時の説明
- 最後の挨拶
順番が入れ替わったり、聞かれない質問があったり、上記以外の質問が出るケースもありますが、最低限この流れは知っておきましょう。
仮に現在の自分の市場価値だけが知りたい!という場合もあるかもしれませんが、転職する事を想定して、自分の事をしっかりと伝えてみましょう。
キャリアアドバイザーとの面談で伝えるべき事・聞くべき事
面談の流れを把握していれば、回答しなければならない内容もイメージできたと思いますが、必ず面談で伝えるべき事・聞くべき事を挙げておきます。
- 転職の軸(こちらから伝える)
- 転職エージェントを活用しようと思った理由(こちらから伝える)
- 転職の希望時期(こちらから伝える)
- 転職活動に注げるエネルギー、時間(転職活動のペース)(こちらから伝える)
- 自分の市場価値(聞く)
- 他のエージェントとの違い・キャリアアドバイザーの役割(聞く)
- キャリアアドバイザー自身への質問(聞く)
それぞれ具体的に解説していきます。
転職の軸を伝える
転職エージェントのキャリアドバイザーに伝えるべき内容としては、この「転職の軸」が一番大切と言って良いです。
転職の軸は人それぞれであり、それはキャリアドバイザーも分かっています。ですから自分の希望に沿った求人情報をもらえる様に、自分の転職の軸は明確に伝えましょう。
転職の軸というのは、内容によっては少しわがままなもの(年収UP、残業無しなど)も含まれます。これらは企業との面接で直接伝えるのは微妙ですが、キャリアドバイザーには本音で伝えてOKです。むしろ、「あまり変な希望はしない様にしよう。」と思って、本音の転職の軸を伝えないと、希望に沿わない求人を紹介される事になってしまいます。本音ベースでしっかりと転職の軸を伝えましょう。
この転職の軸が定まっていない状態でキャリアドバイザーに相談をすると、場合によっては舐められてしまう事もあるので要注意です。自分の希望を一旦言い切りましょう。もし、その希望の求人が無いという場合は、その状況になってから転職の軸を見直せば良いです。
転職エージェントを活用しようと思った理由
なぜその転職エージェントを活用しようと思ったのか?
もっと言えば他のサービスではなくて、なぜそのサービスなのか?という点はキャリアドバイザーも非常に気になる点です。
この回答によって、求職者の転職に対する考え方や人物像もイメージできる事が多いです。
転職をすぐにしたいからなのか?それとも自分の市場価値を知りたいだけなのか?といった事を明確に伝える事で、面談の目的もハッキリとしてきます。
この点を伝えて、逆に「他の転職エージェントやサービスと比較した場合の違い」を聞いてみるのも良いかもしれません。
転職の希望時期と理由を伝える
転職時期については、エージェントの登録フォームでも入力が求められたり、キャリアドバイザーの方から質問されると思いますが、いつ頃転職したいと考えているのかを理由を添えてしっかりと伝えましょう。
- すぐにでも転職をしたいのか?
- それとも、良い企業が見つかった時に転職をしたいのか?
- 1ヶ月後?3ヶ月後?半年先?
これらを理由を添えてしっかりと伝えましょう。そうでないとキャリアドバイザーもどの位の温度感で求人紹介をすれば良いか分かりません。
オススメなのは「焦っている訳ではないが、良い企業があればすぐにでも転職したい(その場合は2、3ヵ月後など具体的な時期も回答する)」と言った回答が無難かもしれません。
転職活動に注げるエネルギーと時間(転職活動のペース)
どの位のエネルギーと時間を転職活動に注げるのか?もしっかりと伝えておきましょう。
例えば、
- 週に1回は面接を受けられる状態なのか?
- それとも仕事が忙しすぎて、1ヵ月に2回程度の面接しか受けられないのか?
- 仕事が無い時は転職活動ができるので、土日等も活動できるのか?
これらは現在の仕事の忙しさ、残業の有無、休日の曜日はもちろん、転職の準備状況を鑑みて、転職活動に注げるエネルギーと時間を伝えましょう。
そうする事で、転職活動に最適なペースをお互いに認識合わせできます。
自分の市場価値を聞く
転職活動に切羽詰まっていると、自分の市場価値を聞く余裕は無いかもしれません。
ただ、市場価値を聞く事で、今後応募できる企業、年収・待遇等が具体的にイメージできる様になります。なので、市場価値はしっかりと聞く様にしましょう。
それに、現在の年収・待遇と照らし合わせて市場価値を聞く事で、転職した方が良いかどうかの客観的な判断にもなります。人によっては転職をしない方が良い場合もあるかもしれません。(年収が下がっても転職したいという場合等は別)
特に、今すぐの転職をしたい訳ではないという場合は、必ず現在の市場価値を確認する様にしましょう。
他のエージェントとの違いや、キャリアアドバイザーの役割について聞く
これはキャリアドバイザーの方から説明があると思いますが、もし説明が無い場合はこちらからしっかりと質問しましょう。
まず、他のサービスと比較してその転職エージェントの強みは何なのか?という点を聞いておきましょう。事前に各エージェントの強みを分かっておくと、活用すべき転職エージェントがバッチリと決まりやすくなります。
※ただ、基本的な情報はHP等にも載っているので、HP等は一通り確認しておきましょう。
特に、キャリアアドバイザーが求職者担当・採用企業担当で分かれているのか?一緒なのか?についてはしっかりと確認しておくと良いです。もし、どちらも同じキャリアアドバイザーが担当する場合は、紹介してくれる企業は絞られるものの、その後の選考通過率は高くなる傾向にあります。
また、転職エージェントによってキャリアアドバイザーの役割は微妙に違ってきます。他のエージェントと同じ事を求めたら「それはできません。。。」と言われる事もあるかもしれません。キャリアアドバイザーの役割については事前に確認をしておきましょう。
キャリアアドバイザー自身への質問をする
最後にキャリアドバイザーへの質問もしておくと良いです。
転職エージェントには様々なキャリアドバイザーの方がいます。できるだけ自分に合ったキャリアドバイザーの方に転職活動をサポートしてもらうのが理想的です。
個人的にキャリアドバイザーに聞きたい事があれば、失礼にならない程度に聞いてみましょう。答えられる範囲で色々と教えてくれるはずです。
特に以下の点を確認しておくと、一緒に転職活動をサポートしてもらえるかの判断になります。
- キャリアドバイザー自身の社会人経験、IT業界の経験
- キャリアドバイザー自身の転職経験
- キャリアドバイザーから見た客観的なオススメの意見(自分の市場価値、身に付けるスキル、オススメの転職時期等)
最後の質問については、アドバイスという形で向こうから話してくれるかもしれませんが、言及されなかった場合は聞いてみても良いかもしれません。
ただ、キャリアドバイザー自身に関する質問をする際は注意も必要です。自分の事は話したがらないキャリアドバイザーもいますので、「もし教えてもらえるなら可能な範囲で良いので」と前置きして聞いてみましょう。社会人として失礼にならない様に聞きましょう。
まとめ
今回は転職エージェントのキャリアドバイザーと面談をする際に必ず伝えるべき事・聞くべき事について解説しました。
■エージェント活用前の準備
- 転職に求める事の優先順位を明確にする
- 各転職エージェントの特色を知っておく
- エージェントとの面談の流れを知っておく
■キャリアアドバイザーに伝えるべき事・聞くべき事
- 転職の軸
- 転職エージェント活用の理由
- 転職の希望時期と理由
- 転職活動に注げるエネルギーと時間
- 自分の市場価値
- 他の転職エージェントとの違い・キャリアアドバイザーの役割
- キャリアアドバイザーへの質問
転職活動を成功させるために、転職エージェントを活用する前には最低限の準備と、話すべき事をしっかりと整理をしておきましょう。
これらの整理できていると実際に転職活動で面接等を行う際にも役に立ちます!
しっかりと準備をして、転職活動を成功させましょう!